LINEモバイル、開業後初めて明かした「実像」 口コミ戦略の次は店舗販売やTVCMを開始

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初のTVCMでは女優の「のん」さんを起用、「愛と革新」をテーマにする(撮影:尾形文繁)

LINEモバイルは3月15日から初のテレビCMを開始した。白いワイシャツ姿の女優「のん」さんを流し続け、「LINE・SNS 使い放題。月額1110円〜」という文字を挟み、「愛と革新。LINE MOBILE」という文言で締めるシンプルなものだ。

「シンプルすぎるのではないか」という記者の質問に、嘉戸社長は「情報をできるだけそぎ落として(料金体系などがシンプルだということを)シンプルに伝えたかった」とした。「事務所問題を抱えているのん(注:のんさんは移籍に当たって事務所ともめた経緯がある)をあえて使った意図は」と問われると、「事務所問題があることは認識していたが、凛とした佇まいで『愛と革新』というメッセージを伝えられるのは、この方しかいないというのが会社としての結論」と説明した。

店舗での販売を開始

LINEモバイルはこれまでホームページでの受け付けとAmazonでの販売に限られてきた。それが15日、店舗での販売を開始した。ビックカメラ5店舗、ヨドバシカメラ5店舗の計10店で「いずれも(MVNOの)売上高の大きい店舗」(舛田氏)。ビックカメラでは、現在勢いのあるUQモバイルやワイモバイルと並ぶという好位置にカウンターを出した。「それだけ量販店側にも期待され、大事にしてもらっている」(舛田氏)。

ビックカメラ有楽町店に設置されたカウンター。申し込みから即日で受け取りが可能(撮影:尾形文繁)

店舗では当面、新規契約のみを受け付ける。店舗の機能を制限するのは、「『待たされる』『説明を聞いているうちに疲れてしまう』という不満を解消したいから」だと舛田氏は言う。今後は修理専門カウンターなど多様な店舗を出店し、「できるだけ早いうちに100店舗にしたい」(舛田氏)。「できるだけ早いうちに」というのは社内的には「年内」のようだ。

MVNOでは新規参入が相次ぎ、現在では500社超の業者がしのぎを削っている。最大手はNTTコミュニケーションズの「OCNモバイルONE」、第2位はIIJの「IIJmio(ミオ)」だが、関西電力系のケイ・オプティコム「mineo(マイネオ)」、楽天の「楽天モバイル」も急速にシェアを伸ばすなど、戦国時代の様相を呈している。

LINEモバイルは激化する競争で勝ち残っていけるだろうか。これまでの半年間はコマーシャルも打たず、店舗展開もしなかった割には上出来だったといえる。ただ、それはLINEの圧倒的な知名度がなせる技だったのかもしれない。テレビCMや店舗販売を開始した3月15日以降こそ、真価が試される。

山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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