新社会人が慌てて保険に入るべきでない理由 営業マンの勧誘攻勢に即応してはいけない

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保険商品の設計にかかわる専門家によると、売れ筋の「医療保険」で、保険料の30%くらいが保険会社の運営費に回るそうです。商品やサービスの質を高めるためにも「1万円につき3000円の手数料が引かれる金融商品を利用して安心するのか?」と考えてみてほしいと思います。

また、大病などにかかると保険加入が難しくなるのは事実ですが、そもそも保険はリスクに備える手段であり、加入自体が目的なのではありません。むしろ、20代で加入した保険がいつまでも役に立つだろうか、と疑ってみていいかもしれません。

20~30年前の「医療保険」や「がん保険」が医療の変化に合っておらず、役に立っていないような実例もあるからです。契約内容が変わらないことは怖いことでもあるのです。たとえば、「中高年になってもサイズがピッタリの服を入社時に選べるだろうか」などと考える必要を感じます。

最後に「保険での貯蓄」について触れておきます。営業職時代の筆者は「長期的には預金より保険での貯蓄が有利」という保険会社の教えを信じていました。しかし、間違いでした。「元本割れリスクなどがまったく違う預金との比較はダメ」「保険会社が主に国債などで運用しているのであれば、自分で個人向け国債(変動10)でも買うほうが、手数料が少ないぶん有利」なのです。

空気のようなものに流されないようにしよう

一般の人が「積み立て」で資産形成をもくろむ場合、最も影響を与えるのは、運用利回りではなく、積み立てる「額の大きさ」であることも付記しておきます。金融機関が伝えたがらない、身も蓋(ふた)もない原則だと思います。

筆者は、20代の頃「(民間の)保険に、何かしら加入しているのが当然」のように認識していた周囲の人たちの「同調圧力」に屈し、大手生保の保険に加入していました。公的保険のことなどを知っていたら、加入しなかったはずです。

新社会人の皆さまには、空気のようなものに流されず、自分なりに物事を考えてみる大人になってほしいと思います。

後田 亨 オフィスバトン「保険相談室」代表

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うしろだ とおる / Tooru Ushiroda

1959年、長崎県出身。長崎大学経済学部卒。1995年、アパレルメーカーから日本生命へ転職。営業職、複数の保険会社の商品を扱う代理店を経て2012年に独立。現在はオフィスバトン「保険相談室」代表として執筆やセミナー講師、個人向け有料相談を手掛ける。『「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由』(青春出版社)ほか、著書・メディア掲載多数。

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