ようやくリストラ効果、ファミレスが復活宣言 改革を断行が奏功してファミレス御三家が復調

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既存店の底上げに注力

加えて、従来の出店数増加による成長モデルを捨て去った3社が、既存店のテコ入れに注力。その成果が出始めたことも見逃せない。

すかいらーくはファンドの支援を受けつつ、日米のマクドナルドや米スターバックス、ファーストリテイリングの幹部を次々とヘッドハントしている。そのノウハウを活用し、11年から、メニュー数の絞り込みやハンバーグ調理工程の見直しなど店舗運営やマーケティングの改革を地道に続けてきた。

ロイホも11年まで三つに分かれていた地域子会社を1社に統合。商品開発や人材育成の統一を図った。

一方で09年には黒毛和牛と黒豚を使った高価格の「黒×黒ハンバーグ」を投入。その後も12年は低温乾燥熟成パスタやアンガス牛のステーキなど高額メニューの投入を続け、大手のファミレスでは超えられないといわれた客単価1000円の壁を突破し、1100円超の水準となっている。

デニーズも11年から店舗で料理の提供時間の短縮やあいさつ・お辞儀といった接客の基本動作をあらためて徹底させてきた。メニューの見直しにも取り組み、昨年冬にレシピを抜本的に変えたビーフシチューを皮切りに、サーモンハンバーグや生パスタなど次々と高額メニューを投入してきた。

各社が思い切った改革に動いた背景には、株主構成や経営陣の変化がある。

すかいらーくは06年に経営立て直しのため、ファンドと組みMBO(経営陣による自社買収)による株式非公開化を実行。08年には創業者で当時社長だった横川竟氏が業績不振を理由に解任され、後任にはビュッフェレストラン子会社に20年在籍した傍流とも思われた谷氏が就任した。11年には米系ファンドのベインキャピタルが経営権を取得している。

セブン&アイFSの大久保社長はユニクロや成城石井の改革で辣腕を振るった小売業専門の経営者。ロイホを率いる矢崎精二社長はプロパーだが、ロイヤルホールディングスの菊地唯夫社長は日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)の出身だ。

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