他人の車に「GPS設置」が犯罪にならない現状 「ストーカー規制法」では対象外
知人女性の車に衛星利用測位システム(GPS)機器を取り付けて、その行動を監視したなどとして、名古屋市の男性が2月下旬、ストーカー規制法違反の疑いで愛知県警に逮捕された。男性は警察の取調べに「女性が好きだった」と供述し、容疑を認めているという。
報道によると、男性は昨年9月から今年2月にかけて、ネット上で知り合った女性の軽乗用車にGPS機器をひそかに取り付けて見張ったり、インターネットの掲示板に彼女の行動を監視していると思わせる投稿をしていた。
女性が今年2月初旬、車を修理した際に、GPS機器が取り付けられていることに気付き、県警に相談したことから発覚した。好意を抱いている相手の車にGPS機器を取り付けることは、ストーカー規制法上、どのように禁止されているのか。刑事事件にくわしい荒木樹弁護士に聞いた。
GPSを車に設置しただけでは罪に問われない
「ストーカー規制法では、恋愛感情などを充足する目的や、充足されなかったことの怨恨の目的でのつきまとい行為などを禁止しています。もし違反した場合は、刑事処罰を受けることがあります。
ストーカー行為については、ストーカー規制法に8つの項目が列挙されています。今回問題となったGPSによる監視行為は、ストーカー規制法で規定する『その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、またはその知り得る状態に置くこと』にあたると考えられます(同法2条1項2号)。
正確にいうと、他人の車にGPS装置を設置したうえで、その行動を監視していることをインターネット上に投稿して、被害者が知りうる状態に置いたことが、罪に問われるのです」