他人の車に「GPS設置」が犯罪にならない現状 「ストーカー規制法」では対象外
GPS装置を取り付ける行為は罪に問われないのか。
「実は、GPS装置を車などに設置する行為自体は、現行法で処罰されていません。
この点、警察の捜査手法でも問題になっていますが、警察が容疑者の車にGPS装置を取り付けること自体は犯罪ではないので、当然に違法捜査といえないのです。ただし、裁判官の令状が必要かどうかで問題となっており、現在、最高裁判所で争われています。
刑法の基本原則として、『罪刑法定主義』という考え方があります。法律に定められていない行為で処罰をされることは許されません」
録音機や盗聴器、盗撮カメラの設置でも…
ストーカー規制法では、つきまとったり、待ち伏せしたり、住居・勤務・学校などの付近において見張りをしたり、住居に押し掛けることなどが禁止されているが……。
「GPSを車に設置することは、『見張り』行為のようにも思えますが、法律上は『住居等の付近において見張りをする』行為を禁止しているのであって、GPSで監視するだけでは、該当しないのです。
同じような問題は、録音機や盗聴器、盗撮カメラの設置でも生じます。警察の捜査手法として使われる場合もありますが、合法行為との線引きが難しく、法律上の規制がないのが実情です」
釧路弁護士会所属。1999年検事任官、東京地検、札幌地検等の勤務を経て、2010年退官。出身地である北海道帯広市で荒木法律事務所を開設し、民事・刑事を問わず、地元の事件を中心に取り扱っている。