アパホテル、驚異の利益率33%を稼ぐ仕掛け 元谷代表「書籍問題で世界的に知名度アップ」
利益率33%という収益性の高さはどこから来るのか。元谷代表によれば、「東京都心に重点進出したこと」と語る。アパホテルが得意とするビジネスホテルは、シティホテルより人件費や食材費が少なく、収益性が高い。特に都心部は出張や観光需要が見込めるため、「都心のホテルは地方のホテルの3~4倍の収益力がある」(元谷代表)という。
アパが2010年以降、都心にホテルを増やしてきたのもそうした理由だ。さらに今後は同じホテルでも、客室数がより多いタワー型の開業も加速化させる。
2015年9月に開業した「新宿 歌舞伎町タワー」(620室)を皮切りに、2018年5月に「西新宿5丁目タワー」(710室)や2019年夏に「両国駅タワー」(1111室)、2020年春に「東新宿 歌舞伎町タワー」(643室)など大型ホテルの開業を計画。六本木には2019年秋に5棟875室、2021年秋にも同エリアで1棟669室で合計1544室の怒濤の攻勢をかける。
アパグループは1971年創業。高度経済成長の波に乗り、マンションの建設・販売で成長してきた。多角化の一環としてホテルに参入したのは1984年と、業界ではやや後発の部類に入る。
変形地を取得する独自の手法
飛躍の契機となったのが「新都市型ホテル」と呼ぶ新形態のビジネスホテルだ。部屋の広さを小さくし、節水シャワーを導入するなど、とことん効率を重視して急成長を遂げた。2007年には自社物件で耐震強度不足が発覚。それを契機に、「不要な不動産を売り払ったことで、リーマンショックの影響を受けずに済んだ」と元谷代表はかつて東洋経済の取材に答えている。
アパが都内に所有するホテルの不動産登記簿を眺めてみると、確かに2009年頃からの取得が目立つ。開発手法は一貫しており、リーマンショック後に売りに出た安値の変形地を買い集め、ホテルを建設するのだ。不動産専門誌の記者は「大通りから一歩入ったような土地が多く、オフィスにしても高い賃料がとれない物件ばかり」と指摘する。
同業他社はホテルの運営に特化しており、ホテルの土地建物は不動産オーナーから借り受ける方式をとる会社が多い。一方でアパホテルは、超低金利を背景に、自社で不動産やホテルを保有する直営中心のため、収益性が高く、スピード感のある展開が可能になっている。
ただ、こうした運営方針は急拡大を可能にする一方で、危険性もはらんでいる。ホテル事業から得られる投資利回りが低下するか、借入金の利払いが増えた場合に、行き詰まる可能性が高いのだ。
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