トランブは北朝鮮で「逆転ホーマー」を打てる 2つのポイントを見失わなければ、何とかなる

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北朝鮮最高指導者の金正恩・朝鮮労働党委員長。3月1日に朝鮮中央通信(KCNA)が配信(写真:ロイター)

北朝鮮の弾道ミサイル実験に対するドナルド・トランプ米大統領の反応が驚くほど控えめだった。トランプ大統領は米国に到達可能な核ミサイルを開発する北朝鮮の目標について、「そうはならない」とツイッターで宣言。大統領が次にどう動くか警戒感が広がっている。

北朝鮮が最近開発した固体燃料エンジン搭載のミサイルは、発射直前まで標的が特定できないため、防ぐのは難しい。トランプ大統領の側近らは北朝鮮の核施設への先制攻撃を進言する可能性がある。そうなると北朝鮮が米国に加え、韓国に対しても反撃する可能性があり、危機的な状況を招きかねない。

米国が北朝鮮の脅威に対して取り得る一つの手段は、経済制裁の強化である。ただし北朝鮮の若き将軍、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の野心を思いとどまらせるためには、中国側からの協力が不可欠である。それは容易ではない。

根強い中国の警戒心

中国の指導者は、北朝鮮だけでなく中国も制裁強化の対象になると拡大解釈するかもしれない。そうなると中国の習近平国家主席が米国の圧力に屈するとは考えにくい。

北朝鮮をめぐって20年以上続いてきた非核化協議で良い結果を引き出すために、トランプ政権は2つの基本的な点に留意しなければならない。

最初の留意点は中国に関係している。北朝鮮の非核化に向けたいかなる外交努力も、朝鮮半島の将来に関する中国の地政学的懸念を和らげねばならない。

何世紀にもわたって、中国は、朝鮮半島が自国包囲網の一部と化したり、侵略の足がかりとなることを恐れていた。1592年に日本の豊臣秀吉が朝鮮半島に出兵、当時の明国はこれと戦った。その約300年後の1894年には日清戦争が勃発。1950年に起きた朝鮮戦争では米軍が北緯38度線を越えて中国国境に迫った。

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