トランブは北朝鮮で「逆転ホーマー」を打てる 2つのポイントを見失わなければ、何とかなる

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現在の中国の指導者層は、北朝鮮に対する米国の行動を全面的に支持するつもりはない。制裁強化に伴い北朝鮮が暴発した際、被害を受けることだけは何とか避けたいというのが本音だろう。

北朝鮮の指導者は、中国のこうした戦略的意図を理解しているはずだ。だからこそ自国の核開発を自由に行っていられるわけだ。

トランプ大統領と習主席は電話会談を行っており、近々直接会談する可能性がある。筆者は、トランプ大統領が朝鮮半島に関する地政学上の懸念の緩和策を打ち出し、中国に譲歩を持ちかけるよう望んでいる。

たとえばトランプ政権は中国に対し、北朝鮮の非核化に向けて中国の安全を保障すると提案してはどうだろうか。

そして北朝鮮が核兵器を廃絶した場合、中国が懸念を示している米国の高高度ミサイル防衛システム「THAAD」を韓国から引き揚げると持ちかけるのだ。そのうえで中国側に北朝鮮の非核化への協力を要請する。そこで話がまとまれば、非核化の道筋が見えてくる。

第二の留意点は北朝鮮側の安全保障である。国際社会では、北朝鮮のような孤立国は隣国に脅かされるため軍拡に走り、核兵器などの抑止力を獲得しようとする傾向が強い。結局そうした施策は隣国の警戒心を誘って悪循環につながってしまう。

ビル・クリントン元米大統領はこの点を理解していた。同政権は1994年のジュネーブ合意で米朝関係の改善を約束し、北朝鮮の核活動を数年間凍結させることに成功した。ブッシュ政権は北朝鮮を「悪の枢軸」に加えたが、北朝鮮の安全保障上のジレンマを認識して6カ国協議を進め、2005年9月、北朝鮮の核兵器の放棄にいったん合意した。

「評価一変」のチャンスだ

こうした取り組みを批判する者ほど、米国は同じ手を二度は食わないとして、制裁を強化すべきだと主張する。だが中国の強い支持がない状況下の制裁は効果的ではない。北朝鮮が米国との外交途絶を逆手に取ってミサイル技術を開発している今、状況は悪化してきている。

トランプ大統領は選挙期間中、金正恩党委員長と話し合うことに「問題はない」と語っていた。もしも、中国と北朝鮮との間で話をまとめたら、彼の評価は一変するはずだ。

尹永寛 ソウル大学政治外交学部教授

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Yoon Young-kwan

ソウル大学政治外交学部教授、元韓国外交通商相.

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