日本人を縛る「男が家計を支える」という幻想 100年人生を生き抜く「一時的ヒモ化」戦略

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私は2011年、東京のビジネスパーソンに対し、月にどのくらい自己啓発をしているかを調査したことがあります。

たとえばビジネス書を1カ月で何冊読んでいるか。東証一部上場の企業に勤める人が大半でしたが、ゼロ冊と答えた人がほとんど。もちろんなかには月に20冊読んでいるという人もいましたが、少数派です。圧倒的多数がゼロなんです。

これはあくまで1つのサンプルにすぎませんが、人々がいかに日常的な学びの機会をもっていないかがわかります。

15分だけでもいいから読書の時間をつくる

ちなみにビジネス系の情報番組は1日平均20~30分。日本経済新聞を読んでいない人も多い。すると彼らはどこでインプットをしているのだろう。学校で学び、そのときのインプットのまま走り続けている人が多いというわけです。

毎日2時間も3時間も読書の時間を取るのは難しい。でも通勤時間、電車に乗っている間の15分だけでもいい。読書の時間にあてる。これなら誰にでもできるはずです。

なぜルーチンの話をしたかというと、一部のビジネスパーソンは、私の調査の自由記述の中で、そうやって勉強していると書いていたからです。

リンダ・グラットン氏が言うように、これから長い人生、リタイアして勉強するという時期がつくれれば良いのですが、日本はまだそうした意識も仕組みも整っていません。

その中で私たちができるのは、日常の中に学びをルーチンとして組み込むこと。読書に限りません。勉強会に参加する、友人と議論する、いわゆる「朝活」をやってもいい。その積み重ねが、エネルギーの充塡につながり、100年ライフを充実させる一歩だと私は思います。

服部 泰宏 横浜国立大学大学院准教授

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はっとり やすひろ / Yasuhiro Hattori

1980年、神奈川県生まれ。横浜国立大学大学院国際社会科学研究院准教授。神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程修了後、滋賀大学経済学部専任講師、准教授を経て、現在にいたる。日本企業の組織と個人の関わりあいや、経営学的な知識の普及の研究等に従事。2013年以降は特に「採用学」の確立に向けた研究・活動に力をそそぐ。主な著書に『採用学』(新潮社)、『日本企業の心理的契約』(白桃書房)などがある。2010年に第26回組織学会高宮賞、2014年に人材育成学会論文賞を受賞。

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