本当に痩せたいなら「速く」走ってはいけない フルマラソンを目指す人なら知っておきたい

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走る速さはピッチ(1秒の歩数)とストライド(1歩の距離)で決まりますが、かかと着地はストライドを伸ばすために生まれた走法。一方、フォアフット着地はピッチを稼ぐ走り方ですが、そのほうが足に負担がかからず故障が少ないと考えています。

背筋を伸ばして立ち、体の軸を一直線に保ったまま前に傾ける。倒れそうになると、自然と足が前に出ますが、それを繰り返していけばフォアフット着地でうまく走れるようになります。地面を蹴るのではなく、自然と足が前に出て軽いジャンプを繰り返していくイメージです。足の力に頼らずに、地面からの反発力を利用して前に進んでいきます。

ピッチは、普段走るよりもだいぶ多くなります。15秒間で45以上を目安とするといいでしょう。

非常に理にかなったトレーニング方法だ

スロージョギングを実践してみると、「本当にこんなラクな運動で痩せられるのか!?」と驚く人も多いですが、これが運動生理学の観点からみても、非常に理にかなったトレーニング方法なのです。

ちなみに「20分以上運動しないと脂肪が燃えない」ということがよくいわれますが、この説に科学的根拠はまったくないといわれています。私たちの体はエネルギー保存の法則に従うはずで、摂取カロリーに対して消費カロリーが多ければ痩せるので、運動の継続時間は関係ありません。

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1分間のスロージョギングと30秒のウォーキングを1セットとし、毎日これを仕事の合間に40セット繰り返したことで、3カ月で7キログラムの減量に成功した人もいます。ちょっとした移動や、オフィスの中でもスロージョギングはできてしまうので、忙しくて走る時間が取れない人でも始めやすいのではないでしょうか。

ダイエット目的で始めても、続けることで自然と筋力もつき、フルマラソンを完走することも可能になります。ダイエットで体が軽くなれば、その分、速く走れるようにもなるでしょう。いつかフルマラソンを走りたいと思っている方のとっかかりとして、スロージョギングはお勧めのトレーニングです。

田中 宏暁 福岡大学スポーツ科学部教授

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たなか ひろあき / Hiroaki Tanaka

1947年生まれ。東京教育大学体育学部卒。専門は運動生理学。肥満や生活習慣病の治療と予防に有効な運動の研究を続け、スロージョギングを提唱。みずからもランナーとして日々ランニングを実践している(フルマラソンの自己ベストは50歳で2時間38分48秒)。

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