ガッツリ貯金できない人は保険に入りすぎだ 年収の何%を生命保険に払っていますか?
保険セールスの言う「必要保障額」を信用し、さらに「おすすめ」に耳を傾けていると、主契約の保障額、保障の期間、そして特約の付加による保障の範囲のいずれもが過大になります。すると、当然、保険料は高くなりますので、家計は圧迫されて、必要な貯蓄を行う余裕を失っていきます。
先のご夫婦のように、保険をいったん契約したものの、「保険料が高すぎて」と、筆者のところにご相談に来られる人が少なくありません。納得して加入したはずなのですが、後に冷静になってみると、「はたしてこんなに保障が必要なのだろうか」との思いに至るようです。特に若い世代の方の場合、保険料負担が大きすぎて貯金がまったくできない場合もあります。
生命保険は、契約した時点で大きな保障をもつことができます。しかし、支払事由(死亡や病気になるなど)に該当しなければ、おカネを受け取ることはできません。自由に引き出すことができて、何にでも使える「貯蓄」とはまったく異なる性質のものです。
長い期間支払い続ける保険料は、家計において、大きな固定費になります。私たちは、すでに多くのリスクに関して、公的保障で守られています。また、貯蓄の形成とともに、必要な保障額は減っていきます。これらの点を踏まえたうえで、私的保険への加入は、金額も期間も最低限に抑えるのが基本です。
超低金利なのに生保で貯蓄するのは、ますます不合理に
生命保険文化センターの「平成28年度 生活保障に関する調査」によりますと、個人年金保険を含む年間払込保険料は、男性が22万8000円、女性が17万4000円です。また前述の「生命保険に関する全国実態調査」では、1世帯あたりの年間払込保険料は38万5000円となっており、近年、減少傾向にあるものの世帯年収の7.4%を占めています。手取り年収に対する比率だと、さらに大きな支出を占めます。
この金額は、貯蓄性のある保険を含んでいるので、そのうちのいくらかは「貯蓄」として考えることができますが、保険による貯蓄は、特に、近年の超低金利の環境下では大変不利です。
生命保険は、多くの場合、長期の契約なので、保険会社は、万一のときに契約者に支払うための責任準備金を積立てておく必要があります。この責任準備金の運用予定の利率を「予定利率」といいますが、保険料は、この予定利率を基に計算されます。予定利率が高ければ、運用益が多く見積もられるので、保険料は安くなりますし、逆に、予定利率を下げれば、契約者が同額の保険金を受け取るためには、より多くの保険料を支払わなければならないということになります。
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