長期低迷続く欧州経済、通貨が暴落しないワケ 金融政策の効果は限られるが、通貨は安定

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やはり深刻なのは失業率の高さ

最も深刻なのは、南欧債務危機国の失業率の高さ、特に半数の若者が失業しているという事態で、かつ長期化していることだ。スキルも身に付かず労働市場への復帰が困難になる。政治・社会の混乱にもつながっている。景気は下げ止まりを見せているとはいえ、地価の下落はまだ続いており、縮小経済の出口は見えない。緊縮は緩やかになったとはいえ、続けなければならない。債務危機国は構造改革や成長戦略を実行するための財源がない。

EUの共通財政による中小企業の支援や教育支援、EIB(欧州投資銀行)の100億ユーロの増資をテコとする中小企業向け融資などの支援は14年初からの導入を目指している。域内の金融行政を共通化する銀行同盟は14年中に発足する予定だ。

だが、そのスケジュール自体、ずれ込んできたものだ。今年9月のドイツ総選挙を待っているからだ。ユーロ圏の経済はドイツ一国が引っ張り、ドイツの独り勝ち。ドイツ議会を通らなければ、おカネがかかることは何も決まらない。

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