優等生の「日本円」はトランプに苦しめられる 意外?米国はメキシコと本気で喧嘩できない

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トランプ米大統領の論理は「対米黒字→許せない→円高」。日本はどうするのか(写真:共同通信)

トランプが名指しする「悪の枢軸4カ国」

米国大統領選挙の直後(2016年11月10日)、筆者は本コラムで以下のように述べた:

・基軸通貨国である米国の大統領が為替相場の方向感に言及すること自体、異例中の異例だが、トランプ大統領ならばその可能性も排除しえない。
・米国の通貨・金融政策の意向が絶対的な影響力を持つ変動為替相場制という舞台において、そうしたトランプ大統領の姿勢は未曾有の脅威と考えざるをえない。言い換えれば、トランプ大統領の言動次第では、為替予想は各種ファンダメンタルズを分析するのではなく、単に同氏の顔色をうかがうゲームになりかねないだろう。この点は大統領候補が「現職大統領」に代わったことでトランプ氏が少しでも"大人の対応"に傾斜することを願うしかない。

2017年に入ってからのトランプ大統領の挙動を見るかぎり、期待された"
大人の対応"は見られず、懸念が現実になりつつあるように思えてならない。1月に入ってから、トランプ大統領は今後の通商交渉に関し「通貨安誘導に対し極めて強い制限を導入していく」方針を表明し、特に日本に対しては「(もし日本が)われわれが日本市場に自動車を売るのを困難にしているのなら不公平」「中国や日本が市場で何年も通貨安誘導を繰り広げ、米国はバカをみている」などと、手厳しい言動が目立つ。

一方、ドイツ(ユーロ)に関してはトランプ大統領の口から批判は聞こえていないものの、新政権が新設した国家通商会議(NTC)のナバロ委員長から「ドイツは甚だしく過小評価されている『暗黙のドイツ・マルク』によって、他のEU加盟国や米国に対して搾取を続けている」と痛烈に批判している。

次ページ4カ国のうち、いちばんの標的は日本円?
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