「介護」はこれからもっと過酷で悲惨になる 介護保険制度がどんどん難解になっている

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──介護の基礎知識がないと、先々業界の人と「まともに対峙できない」とクギを刺されています。

東田 勉(ひがしだ つとむ)/1952年生まれ。國學院大学文学部卒業。コピーライターとして制作会社数社に勤務後、フリーライターとなる。2005年から07年まで介護雑誌『ほっとくる』(主婦の友社)の編集を担当。同誌休刊後、フリーライター兼編集者に。編著書に『認知症の「真実」』『完全図解 介護のしくみ』ほか多数(撮影:尾形文繁)

介護保険制度がどんどん難解になり、素人はついていけなくなりつつある。それ以前に要注意なのが、日本の福祉はすべて申請主義ということ。送られてきた介護保険証はそのままでは単なる紙切れ。要介護認定を受け要介護度の数字が記入され、ケアマネジャー・介護事業者と個別に契約して、やっと使用可になる。介護保険制度自体も面倒ですが、いろんな事業者と対峙していかないと全然前に進まない。だからこれから介護する人は腹をくくるしかない。

離れて暮らしている場合は、親の近くにいつも気に掛けてくれる信用できるケアマネジャーをつけておきたい。要介護認定を受けて、要支援1、2の場合は地域包括支援センターがケアマネジャーをつけてくれます。要介護1〜5の場合は居宅介護支援事業所を通してケアマネジャーをお願いしますが、役所は一覧表をくれるだけ。まずは自宅近くの事業所から順に電話する。ポイントは複数の事業所に聞くことです。話してみて感じのいいところ、「絶対オムツはしたくない」など親の希望があれば、それに前向きに回答してくれたところと契約する。彼らは最低月1回の訪問を義務づけられているから、離れて暮らす家族はそのケアマネジャーに電話して様子を聞けます。ケアマネジャーさんを信用して相談相手にしていくことですね。

介護の仲間を作り、いろんな人の知恵を借りる

──在宅介護の場合は?

一人で抱え込まずに他人の力を借りてオープンな介護を。デイサービスやショートステイをうまく使い、何とか自分の時間を確保して趣味も手放さないとか、余裕を持てるよう工夫しましょう。介護の仲間を作ることもとても大事。いろんな人の知恵を借りながら、介護を苦じゃないものにしていく。地域の介護の先輩からアドバイスをもらって受診機関を決めるとか、生活面での助言をもらうといいですね。認知症の場合は「認知症の人と家族の会」という公益社団法人が47都道府県すべてにありますから、地元に家族会がないか教えてもらうといいです。なるべく近くの家族会に顔を出してアドバイスをもらう。介護の経験者は皆さんとても親切です。アドバイスすることにやりがいを感じる方が結構多くて、初めて介護する人の苦しみや悩みに寄り添ってくれます。

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