日本企業は、もっと中国リスクを真剣に考えよ 環境コスト急増から、最悪の共産党瓦解、内戦まで

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成長も早いが、老衰も早い中国

別に日本に工場を戻さなくてもいいから、アメリカや東南アジアにでも工場を移転させればいいのです。とにかく中国は危険ですよということを強調しておきたいと思います。

仮に革命や内戦が起こらなかったとしても、これからの中国でのビジネスには大きなリスクがつきまとうことは避けられません。というのも、北京やその他の大都市での大気汚染が異常なレベルに達しており、今後は中国における現地ビジネスに環境コストが加わることは誰の目にも明らかだからです。これまで環境についてはリスクフリーだった中国ですが、これからは環境コストが重い負担となって企業にのしかかってくるでしょう。

 サッチャー以前のイギリスや日本のように自前で資本を蓄積し、自力で産業化を達成した国とは異なり、中国の繁栄は外資頼み、外国の技術頼みでした。ブラジルもそうですが、そうした国は成長も速いけれど、老衰するのも速いのです。

2012年に中国の労働生産人口が減少に転じたことは中国政府も認めていますが、2020年頃には総人口も減少するようになり、潜在成長率も5%を下回るという試算もあります。

しかし、この試算は現実を反映していません。前回の記事でも述べたとおり、中国はすでに実質経済成長率で5%を下回っている可能性が高いからです。いま世界では、「中国はいずれGDPでアメリカを抜き、世界一の経済大国になる」という見解が広く共有されているようですが、隠された真実を直視すれば、そのようなことは決して起こらないといえるでしょう。

中原 圭介 経営コンサルタント、経済アナリスト

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なかはら けいすけ / Keisuke Nakahara

経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。企業・金融機関への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。経済や経営だけでなく、歴史や哲学、自然科学など、幅広い視点から経済や消費の動向を分析しており、その予測の正確さには定評がある。「もっとも予測が当たる経済アナリスト」として評価が高く、ファンも多い。
主な著書に『AI×人口減少』『これから日本で起こること』(ともに東洋経済新報社)、『日本の国難』『お金の神様』(ともに講談社)、『ビジネスで使える経済予測入門』『シェール革命後の世界勢力図』(ともにダイヤモンド社)などがある。東洋経済オンラインで『中原圭介の未来予想図』、マネー現代で『経済ニュースの正しい読み方』、ヤフーで『経済の視点から日本の将来を考える』を好評連載中。公式サイトはこちら

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