充実した人生に「上から目線」の夫は要らない 「格上」男性への未練が消えた40歳女性の境地

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「高学歴でエリートといわれる人たちですが、会社などでは目立たない地味なタイプばかり。イケイケではないので、威張らなさそうで、女性とリスペクトし合えそうな第一印象です。でも、あらためて会ってみると違います。話し方の中に上から目線を感じるんです。ほぼ初対面の私を『おまえ』呼ばわりしたキャリア官僚もいました」

おとなしくて地味なのに、真理子さんの前では威張る男性。男性の筆者には彼らの心理を容易に想像できる。容姿やトーク能力に自信がないため普段はおとなしくしているが、内面では「本当はもっと目立ちたい、モテたい、尊敬されたい。オレはそのために受験競争を勝ち抜いてきたのだ」という願望を無意識のうちに高めているのだ。強そうな相手の前では控えている分だけ、自分の価値をわかってくれそうな女性が現れるとその願望が一気に噴出しやすい。

ちょっとたとえが古いが、真理子さんはマンガ『めぞん一刻』の「管理人さん」に少し似ている。派手さはなく、清楚で控えめに見える美人なのだ。話し方もスローペース。地味なエリート男性の「威張りたい」欲を刺激しやすい条件がそろっている。

省吾さんも地味なエリートに属するが、虚勢を張ったり、鬱屈した思いを女性にぶつけたりすることはない。誰とでも対等に接する美点を持っている。

「格上だけど、モテない男を夫に選べ」という母

真理子さんは居心地の良さを感じ、週2回ペースでデートをする交際を続けた。省吾さんが求めてくれるのであれば結婚してもいいと思っていた。しかし、その前には大きなハードルがあった。真理子さんの母親の存在だ。

「私が言うのも変ですが、母は美人の専業主婦です。妹や従姉妹に比べて、私はいちばん出来がいいと言い続けてくれています。私も母の期待には応えたいと思ってきました。母の持論は、ステータスや稼ぐ力は女の自分よりも格上だけど、モテない男を夫に選ぶこと。浮気をされる心配がなく、豊かな生活ができるからでしょう。

実際、母はそんなタイプの父と結婚して、私と妹を育ててくれました。私自身は結婚願望が薄かったので、親が認めてくれる結婚でなければ意味がないと思っていたのです。彼のことを簡単に母に伝えたところ、『その人は格下に該当する。以前にあなたがお付き合いしそうになった研究者の男性のほうが良かった』と反対されてしまいました」

母親の期待に応えたい――。能力の高い長女が陥りがちな呪縛である。真理子さんの場合は、金融機関を辞めて大学院に入り直し、研究者としての自信がつき始めた最近になって、ようやくその呪縛を解くことができた。

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