日本人が知らない注目健康食「テフ」とは何か エチオピア発スーパーフードの正体とは?

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左:「ママ・フレッシュ」の創業者ハイル・テセマさん。真空パックにしたインジェラを各国に輸出している。右:テセマさんの工場で。焼き上がったばかりのインジェラ(写真:上野きより)

世界のテフ人気のトレンドにのっているのがエチオピア人起業家ハイル・テセマさんだ。2003年にアディス市内にインジェラを製造・販売する会社“ママ・フレッシュ”を設立。エチオピアの働くカップル向けにインジェラを製造、販売し始めた。2010年には販売を海外に拡大し、真空パックにしたインジェラを空輸で輸出し始めた。今では最大の販売先のアメリカは週に6回空輸、スウェーデンは週3回、ノルウェーは週2回、ドイツは週1回。このほかにもクウェートとナイジェリアにも輸出している。

健康志向の広がりから売り上げは毎年20~30%の伸びだという。「エチオピアのテフは質が良く、特別だ。われわれのビジネスは拡大する一方ですよ」とテセマさんは言う。今年は日本や中国などアジアへも輸出を開始する計画だという。今後テフの輸出が解禁されれば、テフの輸出も始める予定だ。

食に保守的なエチオピアで新たな取り組み

エチオピアでテフチップスを生産、販売し始めた米国人ヴァレリー・ボーデンさん(写真:上野きより)

外国人の間のテフ人気を背景に、エチオピアでテフの新たな食べ方を提案し、テフチップスを生産、販売し始めたのが在エチオピアの米国人ヴァレリー・ボーデンさんだ。通常のインジェラより薄いインジェラを作り、1口サイズに切ってオーブンで焼いて作ったテフチップスは通常のインジェラよりも発酵時間を短くすることで特有の酸っぱみを抑えている。外国人の多くがインジェラの酸っぱさを好まないためだ。

エチオピア人は食に非常に保守的な国民として知られる。アフリカで唯一植民地化されたことのないエチオピアは異文化との接触が極めて限られており、インジェラ以外の外国の食べ物を試そうとする人は少ない。テフもインジェラとして食べることに大満足しており、それ以外の食べ方をする人はほとんどいない。「エチオピア人はテフのチップスは『とても奇妙だ』と言って食べない」とボーデンさんは言う。一方でジャンクフードは非常に増えている。「発展=アメリカのものと思っているから、ジャンクフードを食べる。テフのように健康的な食品があるのに、です」

ボーデンさんのテフチップスビジネスはまだ販売先はバザーや各国大使館などと限られている。しかし、健康志向の高まりで確かな手応えを感じている。近々エチオピア国内のスーパーで売り始め、いずれ輸出する計画だ。「保守的なエチオピア人も、外国人がテフチップスを食べているのを見て、“クール”と思って食べるようになるかもしれないと思っている」。

上野 きより ジャーナリスト、元国連職員

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うえの きより / Kiyori Ueno

ブルームバーグ・ニュース東京支局、信濃毎日新聞社などで記者として働いた後、国連世界食糧計画(WFP)のローマ本部、エチオピア、ネパールで働き、食糧支援に携わる。2016年から独立。慶應義塾大学卒業、米国コロンビア大学院修士課程修了。東京出身

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