鉄道と飛行機が「運休」を決める基準は? そこまで悪天候でもないのに止める理由

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雪も電車の運行にとっては危険です。レールに雪が積もれば列車はうまく走れませんし、列車の進路を変えるポイントの可動部に雪が挟まれば、ポイントがうまく動かなくなって、列車が思うような進路に進めなくなるからです。また、線路の周辺にある竹林に雪が積もれば、竹が線路上に倒れて列車の通行を邪魔することもありえます。

さて、「雪国では電車が止まったり遅れたりすることはめったにないのに、首都圏ではどうしてすぐに電車が止まるのか」と疑問に思う人もいるでしょう。

雪に対する具体的な対策としては、ポイントへの融雪装置の設置や倒木・倒竹対策といったハード対策と、除雪体制の強化や運行本数を減らすなどのソフト対策が挙げられます。これらの雪への対策は、首都圏が雪国と比べて決して手薄なわけではありません。ただ、首都圏では雪国と運行頻度が異なり、数分おきに電車が運行しているため、少しの遅れが大幅なダイヤの乱れにつながるというわけです。

飛行機が欠航を決める基準は?

それでは、飛行機の場合はどうでしょうか。飛行機は、一見晴れているように見えるのに、予定どおり離着陸しないことが多いですね。こちらは、日本航空(JAL)に話を聞きました。

まず、飛行機の運航に大きな影響を及ぼすのは、台風や積乱雲(雷)、雪、強風などです。たとえば、台風や積乱雲の中や周囲には乱気流があり、飛行機を安全に運航することが難しい場合があります。また、横風や強い追い風も飛行機の安全運航に影響を与えます。飛行機は、着陸時に強い追い風が吹くと、飛行機を滑走路上に停止させるのに普段よりも長い距離が必要となります。着陸時には滑走路上で安全に停止する必要があることから、向かい風が有利であり、追い風や横風は苦手です。

横風の制限値は飛行機の機種や滑走路面の状況によって異なりますが、滑走路に対する真横からの風速に置き換えた場合、最大で風速約16メートル、降雪などで滑りやすい状況では約5メートル以下に制限されます。また追い風については約8メートルで離着陸に制限が発生するため、このような場合には逆方向の滑走路を使用することにより離着陸時に向かい風となるようにします。

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