鉄道と飛行機が「運休」を決める基準は? そこまで悪天候でもないのに止める理由
また、空港の周囲に積乱雲があると、その周囲に発生する急激な風の変化が安全な離着陸に支障を及ぼすため、一時的に離着陸を見合わせることがあります。すると、晴れていても、急に発生した積乱雲による雷雨などにより、飛行機の離着陸ができなくなり、出発や到着が遅れることもあるのです。さらに、積乱雲によって空港が豪雨になった場合にも、離着陸に影響が発生することがあります。滑走路面上に水はけと滑り止めを目的とした溝が入っているのは、豪雨時の離着陸をより安全にするためのものです。
雪も飛行機の運航においては大敵です。滑走路に雪が積もれば飛行機は安全に滑走できない可能性があるので、滑走路上の除雪が必要になります。また、飛行機の翼の上に雪が積もると離陸性能に影響が出るので、翼上面に積もった雪を取り除いたうえで、雪が積もりにくくなる防除氷液を散布する必要があります。雪が降ると発着が遅れやすくなるのは、こうした作業に関連します。
飛行機には「火山灰」も大敵
離着陸時の視界の悪さも運航に影響します。空港の設備によって基準が変わり、たとえば釧路や青森、熊本などの霧の出やすい空港には、着陸進入する航空機に対して空港施設から電波を発射することで視界が悪くても安全に滑走路上まで誘導できる高精度な計器着陸装置(Instrument Landing System=ILS)があります。
このILSにもランクがあり、カテゴリー1~3のうちのカテゴリー1の空港では、視界が非常に悪いときには着陸できないこともあります。このような空港ごとの設備の違いをはじめ、飛行機の機種や、その飛行機を操縦するパイロットの資格によっても着陸の条件が違ってきます。
火山灰も飛行機の安全運航に影響を及ぼす存在です。火山灰が積もれば滑走路が滑りやすくなることもありますし、何よりも影響が大きいのは、火山灰がエンジンの中に入るとエンジンが停止する可能性があることです。
もうひとつ、飛行機の場合は到着地の空港の状況にも大きく左右されます。たとえば、出発地が好天に恵まれていたとしても、到着地が悪天候であれば、そこからの離着陸が制限されることもあり、出発地で「待てど暮らせど飛行機が来ない」ということもありえます。
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