フェイスブックが「自殺防止」に心血注ぐ背景

ネットいじめ対策に潜む大きな「勘違い」

「苦しい、死にたいという気持ちを抱えていても、それを誰にも打ち明けられない人は多いし、自分で相談先を調べて電話するのはさらにハードルが高い。(多くの人が日常的にログインし利用している)フェイスブックを通じてなら、自然な流れで助けを提供できる可能性がある。そこはSNSの強み」。フェイスブックジャパン執行役員の山口琢也・公共政策部長はそう語る。

この施策にはすでに一定の効果が出ているようだ。報告機能の利用状況について具体的な件数は開示されていないものの、認定NPO法人国際ビフレンダーズ東京自殺防止センターの馬場幸子所長は「フェイスブックに情報を掲載してから、10~20代の若い方や初めて電話をかけてくる方の相談が増えている」と、手応えを語る。

どうやっていじめを防止するか?

フェイスブックが自殺防止と併せて力を注いでいるのが「いじめ対策」だ。同社は昨年11月、「いじめ防止ハブ」と題したホームページの日本語版を公開した。こちらは自殺防止ツールのようにSNS機能に直接組み込んだものではなく、いじめの当事者やその保護者、関係者に対し、ホームページ上でさまざまな情報提供を行う形式のものだ。

内容は米エール大学のエモーショナルインテリジェンス(情動知能)センターの研究をもとに構成されており、対象者や項目がかなり細分化されているという特徴がある。

いじめ防止ハブの中のコンテンツ。SNSで具体的にできることも解説されている(写真:フェイスブック いじめ防止ハブより)

たとえば「青少年」という欄には、「自分がいじめられている場合」「友達がいじめられている場合」「いじめの加害者として自分の名前が挙がった場合」という3項目を用意。

それぞれの場合に行動すべき手順を、SNSにかかわることに限らず幅広く記している。また、日本語版を作成する際には国内のいじめ防止に携わる団体と連携し、日本人に伝わりやすい表現になるよう翻訳を工夫したという。

フェイスブックが包括的ないじめ対策に乗り出す背景には、SNSの普及がもたらした人間関係の変化がある。「リアルとバーチャルの境目がなくなるにつれ、いじめのような問題もバーチャルの世界にそのまま反映されるようになった。フェイスブックとしてどう答えを出せるかを議論し、研究を進めた」(山口部長)。

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