フェイスブックが「自殺防止」に心血注ぐ背景 ネットいじめ対策に潜む大きな「勘違い」

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昨今のいじめ対策の在り方については誤解も多い(写真:bee/PIXTA)

個々人がスマートフォンを持ち、ネットを通じて24時間“つながる状態”になったことで、帰宅後や深夜になってもいじめが続くという新たな傾向も生まれている。また、文字情報だけでなく、写真や動画の共有・拡散が簡単に行えるSNSならではの機能も、いじめをしている側に悪意をもって利用される場合はあるだろう。

とはいえ、昨今のいじめ対策の在り方については誤解も多いようだ。NPO法人ストップいじめ!ナビの須永祐慈事務局長はこう訴える。「ネットいじめというくくりで問題の深刻化を指摘する向きもあるが、その中のほとんどは“ネットでも”といういじめ。リアルのいじめと密接にかかわっている以上、(アプリの利用制限など)ネット側だけで対策しても、根本的な解決にはならない」。

ユーザーの命と心を守れるか

支援が必要なユーザーに、どうリーチするのか。山口部長も日々模索しているようだ(写真:記者撮影)

それを踏まえれば、フェイスブックが今回、ネットいじめにとどまらない対策集を作成したことも頷ける。一方で、ユーザーの「SNS離れ」を加速させるようなネット上のコミュニケーショントラブルを少しでも潰していきたいという、企業としての狙いもあるだろう。

自殺防止、いじめ防止のどちらについても、フェイスブックがこういったツールを提供していることの認知度はまだまだ低い。現在は自殺・いじめ対策に携わる団体との連携を深め、これらのツールの利用促進を図っているが、「本当に支援が必要な人にどうリーチするかは課題」(山口部長)。ユーザーの命と心を守るために、世界のコミュニケーションインフラとしての真価を発揮できるか。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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