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なぜか「すごい!」と言われる人の話し方 正しいかどうかでは、人の心はつかめない

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  • 狩野 みき THINK-AID主宰、慶應義塾大学、聖心女子大学、ビジネス・ブレークスルー大学講師
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原稿は、持っているとどうしても読みたくなりますから、原稿は「持ち込み不可」と自分に言い聞かせてください。本番では、最低限の内容を記したメモだけを持ち込んで話します。

プレゼンは、たとえ上司から押しつけられたものであっても、内容にそれなりに思い入れがなければ相手には響きません。「メモだけじゃ情報が足りなくて、うまく話せない」と思うようなら、思い入れ、準備が足りないのです。

トランプ氏のスピーチが響いた理由

では、トランプ氏のスピーチはどうでしょうか?

・簡単な言葉で、一文を短く話す

彼ほど簡単な言葉を使った大統領候補者もいないのかもしれませんね。基礎単語のオンパレードで、誰が聞いてもわかる、単純な構造の文が非常に多い。これは英語の「会話体」の特徴の1つです。

・文法的に間違っているからこその会話体

クリントン氏とトランプ氏のスピーチの違いは「書き言葉」と「話し言葉」の違いだ、とよく言われます。

クリントン氏は、書き言葉をそのまま口にしたような英語を話します。くだけた表現は使わず、文法的にも完璧な文章です。

皆さんもかつて英語の授業で、3つのものを羅列するときは「A , B and C」というように、最後の「C」にあたる部分の前に必ず and を入れる、と教わったと思います。でも、話しているときに最後の and を抜かすネイティブはけっこういます。羅列しているうちにどれがいくつ目なのか、わからなくなってしまうのですね。ところがクリントン氏は、どんなにたくさんの複雑なものを羅列しても、最後のandは抜かさない。

つねに文法的に100%正しく話すというのは「離れ業」です。でも、正しいからこそ、少々嫌味な感じに響くこともあり得ます。

一方のトランプ氏は、文法の間違いだらけ。選挙戦のときは、ツイッターでトランプ氏の「文法間違い」がよく話題になりました。しかし、この文法的な間違いこそ、「会話体」の大事な要素なのです。

会話をしているとき、人はあまり文法を意識しません。文が完結していなかったり、あるべき言葉が抜けていたり、たとえば日本語なら、「めったにない」とすべきところを「めったにある」などと言ってしまったりします。自分の会話を密かに録音して文字に起こしてみると、いかに文法的に「間違った」話し方をしているか、気づくと思います。

トランプ氏のスピーチは、まさに会話体です。「A , B and C」のandだけでなく、theが抜ける、動詞が抜ける、文が途中で終わる、はお手の物。まさに完璧とも言える会話体です。そのような彼のスピーチを聞いた有権者が「この人は、自分たちと同じ」と感じたとしても不思議ではありません。

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【人の感情に訴える言葉を多用していた】

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