トランプに熱狂する「女性支持者」たちの本音 下品な発言があっても魅せられた
生粋の民主党支持者、バイロさん(57)はヨガに精を出し、肉を食べず、定期的に教会に通うシングルマザーだ。クレヨラクレヨンの工場で働く彼女に転機が訪れた瞬間を、彼女は今でも覚えている。それは、ドナルド・トランプ氏が「物事を成し遂げる強力なリーダーになる」と確信したときだ。
今年1月、トランプ氏はアイオワ州で開かれた討論会を蹴って、退役軍人のためのファンドレイジングパーティを主催した。父親が朝鮮戦争に従軍していたバイロさんはこのとき、トランプ氏の商才を認めたと同時に、「退役軍人の面倒を見ているのが素晴らしいと感じた」と話す。
白人女性有権者の53%がトランプ氏に投票
多くの富裕層が住むフロリダ州ネイプルズ。医者の夫を持ち、自らも小さな会社を切り盛りするスー・ガウタさん(47)もまた、トランプ氏を支持する。メイン州の古びた工場街で、なんとか食べていくために定年後も働いている元大学職員のワンダ・リンカーンさん(67)、スポーツ専門チャンネルESPNに勤めるロサンゼルス在住のカイリー・オステンドルフさん(27)もトランプ支持者だ。
米大統領選の結果を分析すると、ひとつのトレンドが浮き彫りとなる。出口調査によると、何万人もの女性、つまり白人女性の有権者のうち53%が、何とトランプ氏を選択し、これが同氏の勝利に大きく貢献したのだ。
話を聞いた米国中の女性が今回の選挙では、ヒラリー・クリントン氏ではなく、トランプ氏に票を投じたと話していた。女性たちはみんな、米国は間違った方向に進んでいて、トランプ氏だけがそれを軌道修正できると話していた。彼女たちは、自ら事業を営む女性であり、自分の娘にも事業をやって欲しいと望んでいる女性たちだ。多くは女性大統領を望んでいたと話す。
彼女たちは、テープに録音された、トランプ氏の女性蔑視発言に腹を立てなかったのか――間違いなく腹を立てていた。彼女たちは、トランプ氏に性的嫌がらせをされたと名乗り出た女性たちの言っていることを信じなかったのだろうか――必ずしも信じたわけではない。一連の言動が、トランプ氏へ票を投じることを思いとどまらせなかったのだろうか――まったくなかった。