「ダウ&日経平均2万」突破前に波乱はあるか 今の市場は「欧州の影」を無視しすぎている

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投資家の中には、「○○先生の見通しは、素晴らしい、ずっと信じてついていきます」と言う方や、見通しが当たり続ける専門家を見つけたい、その人の話だけをずっと聞いていたい、と言う人もいる。それは投資家が、自分自身を専門家の「しもべ」に位置づけるような行為であり、おかしいと思う。

投資家は、「今は専門家のAさんが得意とする分析手法が有効な局面だから、Aさんの書いた記事を読もう」「今度は専門家のBさんの見通しが当たりそうな相場展開だから、Bさんの話を聞こう」と、道具である専門家を使い回せばよいのである。

そうした「道具」の使い方も、個々の専門家単位で考える必要はない。さらに細かく、「この相場展開では、Aさんの実体経済に関する分析だけを使い、Aさんの他の分析は無視しよう、それとBさんの需給の分析だけを使おう」とすればよいのだ。

つまり、投資家が主体的に考え、個々の専門家、さらには個々の分析を、縦横無尽に取捨選択すればよい。専門家は、王様である投資家の家来というわけだ。ただし専門家のなかには、自分が万能な道具であり、いつでもどのような局面でも、全てお役にたちますと、偽っている人も多いので、注意されたい。

当コラムの読者の方が、たとえば「馬渕さんの分析や着眼点の中で、今回は注目に値するものが珍しくあるから、たまにはそこだけ使ってやろうか」と、少しでもお役に立てれば、それ以上の喜びはない。

目先の株価はようやく反落へ?

こうした信念に基づき、短期的に日米株価も米ドル円相場も買われ過ぎている、と何週間も主張し続け、外れ続けてきた。だが、日経平均株価もNYダウ工業株指数も、「2万円・2万ドルを超えて当然だ」という声が世間で強まるのと並行的に、ようやく上値が重くなってきたようだ。ドル円相場も、一時的に118円台に入ったものの、定着していない。

これは、米大統領選挙後の「トランプ騒ぎ」と、それを利した買い方による投機的な担ぎ上げが、さすがに限界に近くなっている状態と解釈している。

また先週は、欧州で、暗い出来事が多かった。ベルリンなどでのテロ行為があり、これによって移民やキリスト教以外の宗教に対する排外主義を掲げる政党に、力を貸す恐れが強まっている。2017年の欧州は選挙の季節で、オランダ議会選挙、仏大統領選挙、ドイツ議会選挙などの選挙が予定されている。排外主義政党が政権を握る可能性は低いとしても、既存政権が、ある程度国民の不満を踏まえざるを得なくなる展開が懸念される。

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