日清食品が「炎上」しても攻め続けられる理由 無難な表現に終始したら思いは伝わらない

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そして冒頭でもご紹介した「OBAKA's UNIVERSITY」。3月に公開した第1弾は、批判を受けて放映を中止する形になりますが、5月には第2弾として「テラ幸子篇」を公開して再び話題に。さらに、個人的に最も興味深いのは9月に第3弾として公開された「おバカへの疾走篇」です。

日清食品の覚悟

この第3弾では、学長役のビートたけしさんがスクーターで疾走する背景に、こんなメッセージが語られています。

こんな時代にバカをやる。
それ自体に意味なんてない。
叩かれて、叱られるだけだ。
でも、オレたちはバカをやる。
それは、時代を変えるためじゃない。
時代にテメエを
変えられないためだ。

 

誰もがビートたけしさんの姿に、日清食品の覚悟を重ねてしまう力強いメッセージと言えるでしょう。

何を隠そう、私自身、3月の騒動の際に東洋経済オンラインで「日清『バカやろう』CMの謝罪騒動が示す皮肉」(4月12日配信)を寄稿し、「われわれの予想を上回るようなカップヌードルらしい攻めの第2弾CMを公開される日を、期待したいと思います」というコメントを寄せていただいておりました。

この第3弾は私個人の期待をはるかに超えた力強いメッセージが込められていました。一般的には、大企業がテレビCMやマーケティングで炎上に遭遇してしまうと、企業全体が自粛ムードに転換し、リスク回避のために新しい挑戦を一時的にやめてしまいがちです。 今回の日清食品の中でも、「OBAKA's UNIVERSITY」第1弾の炎上は驚きを持って受け止められたはずで、ある程度表現方法を無難にしたほうが良いのではないかという議論も当然あったはず。

それをものともせずに、5月には第2弾、9月には第3弾と継続。他のブランドにおいても7月のバズ動画や9月の謎肉祭と、会社全体が攻めの姿勢を継続し、挑戦をし続けることができているのです。

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