日清食品が「炎上」しても攻め続けられる理由 無難な表現に終始したら思いは伝わらない
日清食品は、なぜ炎上しても攻めの姿勢を続けることができるのか。そこには、日清食品の会社としての広告にかける思いとトップから現場までの関係者の覚悟があるようです。
「当社では広告やコミュニケーションにトップが深くコミットしているので、企画の検討から決定までのスピード感が違うんです」。WOMJアワードの授賞式で、「なぜ日清はこんなに攻めた企画をスピード感を持って実施できるのか?」と質問された日清食品ホールディングス宣伝部の東鶴千代係長はこんなことを語っていました。
「話題のスパイラル」傾向が強くなっている
最近では、ネットの普及によって視聴者の批判が可視化されるようになった結果、ちょっとした過激な表現で一部の視聴者の神経を逆なですると、ネット上に批判の声が出てしまい、その批判をメディアが取り上げて実態以上に批判が増幅されるという「話題のスパイラル」傾向が強くなっています。
さらには視聴者が企業の連絡先を簡単に検索し、電話をかけられるようになったため、一度批判が起きてしまうとコールセンターにクレーム電話が殺到しやすい時代になってもいます。
その関係でテレビCMの表現が批判を呼び、テレビCMの放映が中止になるというケースも年々増えてきている印象がありますし、テレビ番組自体も過激な企画がやりにくくなってしまったという嘆きの声が良く聞かれます。
大企業の経営陣にとっては、批判を避けるために無難な広告表現に終始するほうが安全だという思考回路になるのが普通でしょうし、炎上してしまった際の社会的批判のリスクを考えると、そうした保守的な思考になること自体は必ずしも批判されるものではありません。
それでも日清食品にとって「広告」とは企業の思いを顧客に伝えるための重要なコミュニケーション手段であり、トップの経営陣も現場の担当者も覚悟を持って重要視しているからこそ、一度の炎上で会社の方針を変えることなく、会社全体で攻めの姿勢を続けていることができているということが言える気がします。
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