「香港独立」議論で得をするのは中国だけだ 介入の口実与えれば中国共産党の思うつぼ

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香港の夜景。中国からの独立にこだわりすぎると民主主義も台無しに?(写真: pigprox / PIXTA)

約40年前、筆者が初めてモスクワを訪問したとき、ホテルやレストランの環境が極めて劣悪なことに驚かされた。旧ソ連軍についても、敵国に対して十分な脅威を与えるほどきちんと運営されているとは考えられなかった。だが、その旧ソ連軍を西側の人々は恐れていたのだ。

香港の事情は逆だ。レストランはきちんと運営され、世界最高のサービスを誇るホテルがいくつもある。訪問客へのもてなしが行き届いている状況を見ると、特に心配ないように思える。だが、物事はそうした見掛けだけでは判断できない。

香港の成功は、中国の特別行政区という複雑な立場にありながら、現地の人々がおのおのの能力を発揮していたことなどに基づいていた。しかし今年11月にこの街を訪れると、現地の人々はかなり神経質になっているように思えた。

独立運動の過激化は賢明ではない

それは、新たな独立運動が盛り上がっているからだ。もともとは穏健な民主化要求だったが、香港当局が活動家との対話を怠り、かつ中国政府が強硬姿勢を示したことで運動は過激化していった。

過激な独立運動は賢明な選択肢とはいえない。現実的な問題として、香港が再び独立国家となることを、中国が認めるとは考えられないからだ。

民主化運動の指導者は、香港をいかに合法的に自由で開放的な中国の都市とすべきかについて方策を論じるべきだ。それこそが健全かつ前向きな姿勢であろう。

活動家たちが無理に独立を求めるようになると、2014年の民主化運動で得た道徳的な高揚感と住民からの支持を失いかねない。それでは中国共産党、そして香港の傀儡(かいらい)政権の思うつぼである。

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