16歳少年を殴る「中国ネット言論規制」の現実

習近平政権下で強まる言論への規制<1>

楊君は授業中に校長室に呼び出された。待っていたのは4人の警察官だった
中国政府が市民のネット言論の取り締まりを強化し始めた――。今年4月、NNN系列「真相報道バンキシャ!」で放送された「モクゲキシャ!中国ネット規制」は、言論弾圧の被害者に肉薄した生々しいルポ。今回、当局にマークされている4人を取材した宮崎氏のルポを4日連続でお届けする。習近平政権下の中国で、いったい何が起きているのだろうか。

 

「習近平同志の党と国家の指導職務から辞任要求に関する公開状」。こう題する書簡が、今年3月、新疆ウイグル自治区の政府系新聞のネット版に、突如掲載された。中国における一年で最大の政治イベント、日本の国会にあたる全国人民代表大会が開かれる直前である。「忠誠なる共産党員」との署名で、政治や外交の失敗を指摘した上、党と国家を率いる能力が無い習氏に辞任を求める、と主張する内容だった。

国家機密や内部情報が暴かれたわけでもなく、日本なら新聞や雑誌で、日常的に目にする政権批判にさえ及ばない程度の中身だったが、中国でこの掲載が即座に削除されたのは言うまでもない。しかもそれだけでは済まなかった。香港のコラムニストが調べを受けたり、活動家の家族が行方不明になったり、と陰湿な出来事が相次いだ。中国当局が、手当たり次第に人を連行し、犯人探しに躍起になったのだ。これは例外的な事象ではない。中国では今、多様な意見の場であるはずのネット空間に、かつてないほどの暗雲が立ち込めている。

異変は2013年から

「異変」の始まりは3年前に遡る。2013年10月。朝一番の飛行機で北京から中国西北部、甘粛省蘭州市に向かった。習近平国家主席、李克強首相による現指導体制が、その年の3月に発足したばかりだった。

空港から直接、高速道路に乗り走り続けると、車はいつの間にか山道に入る。イスラム教徒である回族が多く、モスクや白い帽子をかぶった人が目立つ。そんな僻地感たっぷりの景色を眺めながら、レンガ造りの家が並ぶ小さな集落に着いた時には、空港を出てからすでに5時間以上が経っていた。

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