輸出入が同額でも「円安で企業収益増」の理由 円高は企業が損して消費者が助かる

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JXホールディングス(ENEOSなどを傘下に持つエネルギー企業)のエネルギー部門についても、おおむね同様で、売上高は前年同期比20.8%減、経常利益(在庫影響を除く)は同5.7%減となりました。

このように、為替差益と原油安のメリットを大きく受けている企業の決算が、売上高も同時に減っていることで、前年同期比減益となっているのです。その分だけ、消費者が安い電力、ガス、ガソリン等の恩恵に浴している、というわけです。

海外からの受取利息・配当が円高で減ることも影響

海外からの金利や配当の受け取りが、円高になると円換算で目減りします。この分は、企業収益の悪化に繋がっているかもしれません。もっとも、海外子会社の売り上げ全体ではなく、利益の部分だけですから、親会社の決算に与える影響は、それほど大きくないでしょう。

法人企業統計によると、昨年度の全産業の経常利益は69兆円です。一方、国際収支統計によると、投資収益は29兆円です。そのうち、金融保険を除く法人企業の投資収益が14兆円あるとして(特に根拠はありませんが、イメージを掴むための仮の数字です)、1割の円高になったとして、投資収益の減少は1.4兆円、全体の2%程度です。

トランプ円安の効果は、これの反対になるでしょう。「円安により企業収益が増え、消費者物価が上がる」わけです。株価は上がりそうですが、景気への影響が限定的だとすると、庶民にとっては、あまり嬉しくないかもしれません。

塚崎 公義 経済評論家・元大学教授

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つかさき・きみよし / Kimiyoshi Tsukasaki

日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関係の仕事に従事。銀行を退職し、久留米大学に移る。2022年に定年退職。著書に『大学の常識は、世間の非常識』など。

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