「円安ドル高」の持続力と待ち受けるリスク トランプ・ラリーはいつまで続くのか

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12月4日イタリアで行われる憲法改正のための国民投票は、レンツィ首相の信任投票でもある(ロイター/アフロ)
「アナ」は「アナ」でも、「アナリスト」。金融市場分析のプロフェッショナル4人――マネックス証券執行役員の大槻奈那さん、ソニーフィナンシャルホールディングス執行役員の尾河眞樹さん、ニッセイ基礎研究所上席研究員の伊藤さゆりさん、SMBCフレンド証券チーフマーケットエコノミストの岩下真理さんが交替で執筆する新連載「女子アナ4人組、金融市場を駆け巡る」(毎週月曜日に掲載)。第2回は尾河さんです。

 

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金融市場関係者の間では、「トランプ・ショック」がいつの間にか、「トランプ・ラリー」と呼ばれるようになった。正直なところ、筆者にとっては「ラリー」というポジティブな印象より「ショック」のほうが大きい。まずは、トランプ候補が大統領に選ばれたこと自体がショックだったし、その後、円高が一瞬で終わり大幅に円安が進んだことはさらに予想外だった。果たしてドル高円安トレンドはいつまで続くのだろうか。

11月15日時点の通貨先物市場IMMにおける投機筋の円ポジションをみると、まだ2万枚程度円ロング(円買い)に傾いていたことがわかる。選挙直後にいったん1ドル=101円台前半まで下落したドル円相場は、11月15日時点にはすでに109円台に載せていた。投機筋はこの間、それまでの円ロングポジションを解消するのに精いっぱいで、円ショート(円売り)ポジションを新たに構築する余裕はなかったようだ。となれば、短期的にはドル円の下落(ドル安円高)時にはドルの押し目買いが入り、ドル円相場は堅調地合い(円安ドル高)を維持しよう。

金融業界優遇も「株高・ドル高円安」を後押し

加えて、目先はトランプ次期政権を巡るポジティブな報道が目立つことも、市場心理にはプラスに働くだろう。

次期政権の重要ポストの人事が固まりつつあるが、財務長官候補者にはJPモルガンの最高経営責任者(CEO)のジェイミー・ダイモン氏や、既に政権移行チームが候補として推薦した、元ゴールドマン・サックス・グループのパートナー、スティーブン・ムニューチン氏、米大手投資会社ブラックストーンで不動産部門のグローバル責任者を務めるジョナサン・グレイ氏などが名を連ねる。

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