「円安ドル高」の持続力と待ち受けるリスク トランプ・ラリーはいつまで続くのか

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グローバルに「反体制」「保護主義」が広がるなかで、「トランプ・ショック」の強烈な印象が、今後欧州の有権者の投票行動にも影響を与えかねない。

2017年は3月にオランダで総選挙、4~5月にフランスの大統領選挙、秋にはドイツの連邦議会選挙(総選挙)が控えている。フランス大統領選では、極右政党の「国民戦線」の党首、マリーヌ・ルペン氏が支持を集めているが、「EU内におけるフランスの未来を問う国民投票を行う」ことを公約としている。ドイツでは、これまで欧州統合の要として活躍してきたメルケル首相の支持率が、移民問題などを巡り大幅に低下している。

欧州不安再燃ならリスクオフ相場に転換

S&P500の値動きを元に算出されている、ボラティリティ・インデックス(VIX指数)は、市場心理を示すものとして、別名「恐怖指数」とも呼ばれるが、市場が悲観に傾き「リスクオフ」になると、同指数は20を超える。

30を超えると「総悲観」で極端なリスクオフと言われるが、2010年のギリシャショックや2011年の欧州債務問題など、欧州を巡るショック時に同指数は47~48付近まで大幅に上昇している。今年の「Brexitショック」でも13付近から27まで急騰したことを踏まえれば、来年も欧州の政治イベントを巡り、市場のボラティリティは高まりそうだ。

2017年の為替相場は米国の保護主義政策や、欧州発のショックによって度々円高が進行するリスクに警戒が必要だろう。

尾河 眞樹 ソニーフィナンシャルグループ(株)執行役員兼金融市場調査部長 チーフアナリスト チーフアナリスト

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おがわ まき / Maki Ogawa

米銀の為替ディーラーを経て、ソニーの財務部にて為替の運用と金融市場の調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析を担当。2016年8月より現職に就任し、レポートやテレビ、雑誌などのメディア等を通じて幅広く個人投資家に向けた金融市場の情報発信を行っている。趣味は茶道(裏千家)、読書、市場関係者や仲間との飲み会などの交流。モットーは「東京市場を熱く(厚く)する!」。セミナー、講演、レポートの執筆を通じて、短期の回転売買でなく腰を据えた長期投資家を増やし、日本の金融市場の活性化と個人投資家の資産形成をサポートしたいと考えている。

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