「円安ドル高」の持続力と待ち受けるリスク トランプ・ラリーはいつまで続くのか

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次期財務長官には米金融業界の中心で活躍してきた人物が指名される可能性は高く、金融規制「ドット・フランク法」が緩和されることに対する市場の期待も高まりやすい。したがって、しばらくは期待先行の「米株高・ドル高円安」の流れが継続するとみている。

多くの市場参加者にとって相場が予想外の展開になるとき、勢いは加速するものだ。これほどのスピード感で円安ドル高が進んだケースとして、直近で思い出されるのは2014年10月末、日銀金融政策決定会合後の円安ドル高局面だ。日銀が大規模な追加緩和を決定し、市場にサプライズを与えたことから「バズーカ2」などと呼ばれたが、この時ドル円は20日間で109円台前半から118円台後半まで、約10円上昇した。

米長期金利の上昇が牽引、1ドル115円試す

今回の大統領選では、101円台前半から111円台前半と、同じように約2週間でほぼ10円上昇している。ただ、2014年との決定的な違いは長期金利の動きだ。当時は日銀が演出した「サプライズ」によって円安ドル高が進んだものの、米長期金利は低迷しており、同期間の日米10年債利回り格差はむしろ縮小気味だった。

しかし今回はトランプ氏が公約に掲げた大型減税や財政出動に対する期待で米長期金利が上昇したため、日米の10年債利回り格差は急拡大している。つまり、「日米の金利差拡大」という実体を伴ったドル高円安になっているのだ。したがって、「トランプノミクス」に対する期待が米国の長期金利を押し上げている間は、ドル高円安傾向は続くだろう。おそらく大統領の就任後100日間の「ハネムーン期間」が終了する2017年4月末ごろまで続くのではないか。

テクニカル上も2015年高値の125円86銭から、2016年安値の99円02銭の半値戻し112円44銭をあっさり上抜けたことをみると、115円の大台を近々試しにいく可能性は高まっている。

ただ、投資家にとって警戒すべきポイントはいくつかある。

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