輸出入が同額でも「円安で企業収益増」の理由

円高は企業が損して消費者が助かる

一方で、直近の12月短観を見ると、製造業では、大企業がプラス4、中堅企業がプラス3、中小企業がプラス4と3カ月前の調査と比べて軒並み改善しています。非製造業は、大企業がプラスマイナスゼロ、中堅企業がプラス1、中小企業がプラス1と、おおむね横ばいながら若干の改善、といったところです。

これを見ると、やはり円安が企業収益を改善させる、少なくとも企業の業況感を改善させる、ということは相関がありそうです。

円高は日本企業の収益にマイナスか?

本来はトランプ円安が12月短観に与えた影響を論じたいのですが、最新の統計等が未発表です。そこで、以下ではトランプ円安以前の円高期のデータを参照しながら、円高の影響を論じることで、6月短観について考えます。

円高が日本企業の収益にマイナスだというのは、納得する読者も多いかもしれませんが、よくよく考えてみれば不思議な話です。

貿易統計を見ると、2016年度上半期の輸出は34兆円、輸入は32兆円で、おおむね同額となっています。したがって、「輸出企業が外国から持ち帰ったドルが高く売れて儲かった」影響と、「輸入企業が外国に支払うためのドルを高く買わざるをえなかった」影響は、おおむね等しいのです。

さらに言えば、輸出の約半分、輸入の約4分の1が円建て取引といわれているので 、輸出企業が円安で享受するメリットよりも輸入企業が円安で受けるデメリットのほうが大きいということになりそうです。

かつては、円高になるとドル建て輸出価格指数を引き上げて為替差損を回避する企業も多かったのですが、昨今ではそうした動きは限定的です。ちなみに、今年9月の輸出物価指数の前年比は、契約通貨ベースでマイナス1.5%、円ベースでマイナス11.6%でした。

つまり、円高分だけ輸出企業がそっくり損をした、というわけです。輸入に関しては、ドル建ての輸入価格は、円相場の影響を受けませんから、円高分だけ輸入企業がそっくり得をしたわけで、両者の合計としては、上記のようにプラスマイナスゼロであった(円建て輸出のことを考えると、若干企業利益が減った)ということになるわけです。

「円高だと輸出数量が減って輸入数量が増えるから、日本企業の売上数量が減り、それが日本企業の決算を悪化させる」ということも考えられます。以前は、確かにそうでした。

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