極右ルペン氏の仏大統領選出は止められるか 対抗馬は右寄りフィヨン氏、最後まで読めず

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このままいけば、左翼の有権者は02年の大統領選と同様の行動を取るかもしれない。当時ルペン党首の父が決選投票に残り、有権者は中道右派のジャック・シラク氏にあえて投票して勝たせた。ただ、フィヨン氏が当時のシラク氏と同程度の支持を得られるかは不透明である。

フィヨン氏の支持基盤は地方に住む、カトリック教徒の退職者だ。同氏自身もカトリック教徒を自認しており、同性愛者が結婚する権利の廃止までは求めていないが、同性愛者のカップルが養子を迎えることには反対している。

フィヨン氏とルペン氏にはいくつかの違いがある。フィヨン氏は経済学的にリベラル派でルペン氏は保護主義派。フィヨン氏は公務員50万人の削減を提唱しているが、ルペン氏は強い政府を志向している。

またフィヨン氏はユーロ圏やEUへの残留を主張する可能性があるが、ルペン氏は離脱を望んでいる。

最後まで予断は禁物

カトリックは依然として多くのフランス人有権者に影響力を持っている。教会自体はカトリック教徒を国民戦線から遠ざけて、より伝統的な保守勢力を支持させたいと考えている。イスラム女性が肌を覆い隠す水着のブルキニを着用するのを禁じる法律を強く支持したことで、極右組織もフィヨン氏の支援に回っている。

現在の政治情勢からすれば、来年の大統領選ではフィヨン氏が26%、ルペン氏が24%の得票を得て決選投票に進む見通し。決選投票ではフィヨン氏が67%の票を獲得して勝利すると見られている。

だが、英国民投票や米大統領選は予想外の結果に終わった。どちらが勝つかは開票作業が終わるまで予断を許さない。

週刊東洋経済12月17日号

ユーゴ・ドロション 英ケンブリッジ大学政治学講師

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ユーゴ・ドロション / Hugo Drochon

英ケンブリッジ大学の政治学講師。著書に「ニーチェの偉大な政治学(Nietzsche’s Great Politics)」がある

 

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