12月13~14日開催のFOMC(米国連邦公開市場委員会)では、利上げ決定が見込まれる。重要なのは、声明文やドットチャート(政策金利見通し)およびイエレンFRB議長会見を通じて次なる利上げについて、どのようなメッセージが発信されるかだ。
9月時点の2017年末の政策金利見通しの中央値は1.125%(7人が来年2回の利上げペース)。利上げペースと人数のバラつき、声明文の表現に変化はないかを確認する必要がある。石橋を叩いて渡るイエレン議長だけに、現段階で不確実性の高いトランプノミクスに対して、言葉を選んで説明するだろう。イエレン議長のトランプにはジョーカーはない。
次なる利上げに向けて、見極めポイントは引続き賃金上昇と緩やかな成長持続が可能であるかだ。1~3月期は天候要因もあって成長率が弱まる傾向(今年の暖冬の反動も懸念)があり、ドル高の影響がじわりと出てくる可能性もある。ましてや今年7~9月期、10~12月期の成長率が米国の潜在成長率である2%程度を、2四半期連続で上回る強さとなれば、鈍化するほうが自然だ。その弱さが見え始めるのは、来年2月の1月分指標の発表時であり、これがトランプ次期政権の政策が具体化していくタイミングと重なるかもしれない。
債券から株式へ、グレートローテーションか?
最後に、今年の8月以降に世界的な債券市場が変調を来した頃から、筆者には注目する人物がいる。新債券王と呼ばれる、米資産運用会社ダブルライン・キャピタルを率いる著名投資家ジェフリー・ガンドラック氏だ。今年初からトランプ氏勝利を予想して見事に的中、それだけでなく、早くから債券売りを推奨していた。
その彼が、11月15日のロイターインタビューで、「米10年債利回りが2.30~2.35%のレンジをつけたら買い」と述べた。その理由は、トランプ氏には経済を急激に良くする「魔法の杖」はなく、政府が動くには時間がかかるという。12月1日には、トランプラリーについて「勢いを失いつつある」と分析し、政権発足までに流れが反転する可能性を指摘した。引続き、彼の発言には注目していきたい。
他方、8日開催のECB(欧州中央銀行)理事会では、国債買入れプログラムの買い入れ条件の緩和と来年12月まで期限延長をする半面、来年4月からは月800億ユーロから600億ユーロに買入れ減額を決定した。ドラギ総裁は会見で、「テーパリングは議論していない」を繰り返し、来年の政治リスクを踏まえた緩和モードの継続を強調した。
しかしながら、この決定は欧州発の長期金利上昇懸念になり、2013年5月のバーナンキ前FRB議長のテーパリング示唆発言の時を思い出させる。当時、債券などの安全資産から株式などのリスク資産への資金シフト(いわゆるグレートローテーション)が話題になったが、その後の中国不安と財政出動が伴わないことで消えた。グレートローテーションが着実に進むかは、2017年も再び米中動向がカギとなりそうだ。
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