来年の正式な干支は「丁酉(ひのととり)」。同じ干支の60年前、1957年の日本は神武景気のピークを6月につけ、年後半は景気後退局面となった。よいも悪いも経験した1年だ。海外では旧ソビエト連邦が世界初の人工衛星打ち上げに成功したことが話題で、宇宙開発で新たな一歩の年でもある。
2017年の国内経済は外的ショック(急激な円高進行)がなければ、緩やかな景気回復持続は可能だろう。海外では欧州での選挙が多く、政治リスクがつきまとう1年だ。2017年の世界経済と相場動向はトランプ次期大統領の政策運営次第となるが、幸先よい一手による株高を期待したい。
トランプ相場はクリスマス前と2月に注意
トランプノミクスと称される大幅減税とインフラ投資による財政拡大、インフレ期待の上昇を見込む形で、相場を先導したのは米長期金利の上昇だった。米株は景気浮揚効果と規制緩和への期待で最高値更新。日経平均も年初来高値更新とトランプ相場の勢いはいまだ止まらない。
11月30日、財務長官に起用される見通しとなったムニューチン氏は、CNBCインタビューで「3~4%の経済成長を目指す上で、税制改正と貿易協定の見直しが最優先事項になる」との見方を示した。トランプ氏がこだわる企業減税(法人税の引き下げ)や通商政策を最優先と明言し、さらには金融規制の緩和にも前のめりな姿勢をみせた。
ムニューチン氏の政策手腕は未知数ながらも、米国への資金流入を促しながら成長力を底上げできれば、財政拡大による悪い金利上昇にはならず、経済効率を高められる可能性はある。またこれから取り組む政策の効果を軽減させないため、ドル高牽制の発言は当面は手控える方が得策だろう。
トランプ氏の大統領就任が来年1月20日であり、その後の一般教書演説、予算教書発表の準備が整うまでは、具体的な政策待ちの時間帯だ。共和党は財政規律を重視する向きが多く、議会の協力を得るため、新政権は極端なプランではなく現実路線に徐々に見直されていくと、筆者はみている。それでも決定的な期待外れの材料が出ない間は、市場に期待感は残ろう。
足元のトランプノミクスへの期待はやや過大に思えるが、具体化の過程で規模が多少下振れても変革への期待は大きく後退せず、トランプ相場が意外に長期化する可能性も否定できない。目先はポジション調整が出やすいクリスマス休暇前と、就任後に政策が具体化していく来年2月が重要な節目となろう。
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