勤務先のブランド服「強制購入」は適法か 「商品を理解するために」と言われたら…

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仮に会社が買取を強制した結果、商品を購入した場合は、会社の行為を「不法行為」として、民事上の損害賠償請求をすることができる場合があります。刑事上は「強要罪」が問題となりえますが、会社が実際に刑事責任を問われる可能性は少ないでしょう。

裁判例としては、会社側が、商品を理解するために商品を買えと従業員に迫り、従業員が一度は拒否したものの、最後はやむなく会社商品を購入したという事件(「美研事件」)があります。裁判所は、会社側が立場を利用し従業員に不要な商品を購入させることは、「公序良俗に反し不法行為を構成する」と判断し、購入させられた商品代金について、損害賠償請求を認めました。

「拒否できる」という選択肢があることを忘れずに

実際には、同僚がみな商品を購入しているという場合などでは、拒否しづらいケースもあると思います。しかし、その場合にも「拒否できる」という選択肢があることを意識して欲しいと思います。会社側には、強制が違法行為との認識がない可能性もありますので、職場有志で法律上の根拠をもとに、強制をやめるよう、かけあってみるなどの対応もできるのではないでしょうか。

村松 由紀子(むらまつ ゆきこ)弁護士
弁護士法人クローバーの代表弁護士。同法人には、弁護士4名が在籍する他、社会保険労務士2名、行政書士1名が所属。交通事故をはじめとする事故、相続等の個人の問題から企業法務まで幅広く扱う。
事務所名:弁護士法人クローバー

 

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