ところがふと、それでは初めての人間はどこから生まれてきたのか、と思ったんや。
いろいろ考えたけど、今度はそう簡単に答えは出てこん。ずいぶんとあれやこれやと思い巡らした結果、人間は宇宙の根源から、その根源の持つ力によって生み出されたんやと、うん、突然そうひらめいた。
根源から生み出されてきた
そうや、宇宙の根源から生まれてきたんや。それは人間だけではない、宇宙万物いっさいが、この根源から、その力によって生み出されてきたのだと考えた。実際にそうかどうかは、わしはそのころ生きておったわけやないから、わからんけど、そう考えるほうが便利がいい。
その根源の力に、ひとつの決まりがある。それが自然の理法というもんやな。そして、その力には宇宙万物すべてを生成発展せしめる力があると。前に自然の理法は生成発展やと言うたのは、こういうことやったんや。
まあ、いずれにしてもそう考えてくると、今日わしがここに存在しておる、その源(みなもと)をたどれば、はじめての人間を通り越して、宇宙の根源までにいたるわけやな。そうすると、ここに存在している、存在出来ていることへの感謝の思いは、実にこの宇宙の根源に対してでなければならんということになったんや。
きみ、わかるか。それでわしは、あのお社をつくった。
そして毎日、朝起きてご先祖さんのお位牌に手を合わせるとともに、このお社の前に来て、円座に座って、手を合わせることにしたんや。うん、今日ここに自分が存在していることへの感謝やな、ありがとうございました、ありがとうございます、とそういうことや。あの根源さんのお社は、わしの、宇宙根源に対する感謝表明の場所でもあるわけやな。
あのお社を置いたときには、ずいぶんと大きい感じがしたけどな、周囲の木が大きくなったから、ちょうどようなったな。まわりの景色に溶けこんで、小さいながら荘厳な雰囲気が出て、エッ?思わずお賽銭でも?そりゃ、きみ、いくらでも出してくれてかまへんよ。
しかし、きみも、自分がそういう宇宙根源から、そして人間の始祖から連綿とつながっておると思えば、自分の値打ちの重さを感じるやろ。みんなそう感じて自分の人間としての重さを自覚することが大事やな。
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