日本人は「人口急減の恐怖」を直視するべきだ

高齢者と若者の溝は、ますます深まっていく

 木本:毎年130万人の人が亡くなる時代がやってきます。果たして火葬場は追いつくんでしょうか。

火葬場が増設されない限り、「事前に予約をしておかないとダメ」となる可能性も…(画:K‐chan / AbemaPrime)

森田:今でも、火葬場のキャパシティより多くの人が亡くなることがあります。したがって、亡くなって翌日、翌々日に火葬するのが難しくなっている。

ですから、遺体を冷蔵保存する業者がビジネスになっています。しかし1週間ならともかく、1カ月待ち、2カ月待ちになったら大変なことになるでしょう。

木本:事前に予約ができるものではありませんからね。

電車の優先席を増やすべきなのか

森田:保育所ですら自宅の近くに建ててもらったら困るという人の声が大きい時代です。ましてや火葬場を新設することは簡単ではない。今は市町村ごとに作っていますが、広域的な対応も必要になるでしょう。

70歳を表す「古稀」という言葉の意味は、「古来稀なり」という意味です。めったにいないからこそ大事にしましょう、ということでお年寄りを大事にしたわけです。その延長線上で、電車の優先席を増やせという議論がある。お年寄りをもっと大事にせよ、ということです。

しかし、そうなると割を食うのは若い人たちです。新聞の投書で読みましたが、登山をしてきた元気な高齢者が優先席に座っている若者に聞こえよがしに「近頃の若者は年寄りに対する敬意が足りない」と言ったそうです。それを聞いた若者が疲れた顔で「あなたたちの年金はわれわれの残業代から出ているのだ」と反論したそうです。殺伐としていますが、もう敬ってもらえる存在ではないのです。

木本:確かに、「高齢者を支えている自分たちを敬え」と言いたい気持ちもわからなくはありません。でも、世代間対立が深まるのは避けたいですね。

藤子・F・不二雄の漫画に、自分の余命を決められる薬を配る話があります。仲間と冗談で「自分の寿命が決められるといいのにな」という話をすることがあるんですよ。僕らの世代は老後にワクワクしていないんです。

森田:気持ちはわかります。生き方死に方をどうするか? 人生観そのものをどう変えていくかも問われることでしょう。たとえばスイスには自殺幇助罪がなくて、尊厳死が認められている。安楽死を求めてスイスに渡航する人もいるそうです。

木本:そのうち「長生きしたい」という発言が空気にそぐわない時代になるかもしれませんね、寂しい話ですが。これからも、この問題を真剣に考え続けていこうと思います。

(構成:高杉 公秀)

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