森田:人口減といっても、実は都市部の高齢者が爆発的に増えます。首都圏では75歳以上の人口が今後30年で2倍以上に増える。こうした高齢者は職場が東京にある「千葉都民」、「埼玉都民」の方も多く、地域のコミュニティに根ざしていない。リタイアしても身近に親しい人がいない。そんな人も、いずれは医療介護を受けるようになります。介護者が絶対的に不足する中で、どうやってケアするのか。これが大きな課題になります。
単身者も多いので、団地などでは孤独死がかなり出るでしょう。それは覚悟しなければならない。
木本:ちょっとブラックユーモアですが、交番に「昨日の孤独死は何人」という看板ができてもおかしくありませんね。
森田:その前段階で心配しなければいけないのが認知症です。首都圏で65歳以上の老人が400万以上増えるわけです。その中で認知症になる人が10%だとして40万人。そのうち10%の人が車を運転するとしたら、大変な問題が起きる可能性がある。
新たなシニアサービスはアジア展開も可能
木本:今でも、高齢者の起こす死傷事故が増えているように感じます。孤独死だけでなく交通事故死も増えることになれば、交番の看板は大変なことになるかもしれませんね。
一方では、新しいビジネスにも期待できるように思います。メーカーもシニア家電の開発には力を入れています。シニア世代のあらゆるところがお金儲けのターゲットになれば、みんな食いつくかもしれません。
森田:おっしゃるとおり。産業としては成り立ちます。ただその製品を買うだけの余裕がある高齢者がどれだけいるのか。年金生活者は、年金そのものが減って苦しくなりますから。よほど安くて便利でなくては、簡単には普及しないように思います。
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