日本橋浜町においしい店が集まり始めた理由

やり手プロデューサーが「町おこし」

「浜町は水辺、公園といった土地そのものの持つ利点に加え、住民や商業者の多様性など、発展する条件を兼ね備えている町です。特に、今まで手掛けて来た町では、住民同士なら所得であるとか、商業なら業種であるなど、どこか偏っていることが多かった。浜町は、そのすべてがミックスされているところが面白いですね。ファミリーもいれば、海外にしょっちゅう出張するような単身女性もいる。町づくりの先進的事例として世界に提示できるプロジェクトになると思います」(水代氏)

昭和35年築の建物をリノベーションしてブランドを誘致する

そもそも浜町は、江戸時代は武家の町、明治時代は花街として栄えた。隅田川の水利を活用していたことから、川沿いには問屋が多いという特徴もある。関東大震災を経験し、震災復興事業として「清洲橋」、清洲橋通り、浜町公園などの整備が進んだものの、東京大空襲でいったん焼け野原になる。バブルに乗り遅れ大規模再開発は進まなかったとはいえ、最近ではマンションの建設も進み、新住民も急速に増えている。このような栄枯盛衰の積み重ねが、さまざまな人や企業が入り組む複雑な土地柄をつくりあげた。

地域住民の力も強く、毎年8月に浜町公園で開催される地域と中央区主催の大江戸まつり盆踊り大会には、約8万人が来場する。また最近の話題では、地元にある相撲部屋「荒汐部屋」が、外国人の観光スポットになっているらしい。窓から稽古場の様子を見学できることが大きな理由だ。また相撲部屋に住む猫たちと相撲取りの取り合わせが面白いと、写真集まで出版されている。

さらに、海外の玄関口としての顔もある。羽田・成田空港へのリムジンバスが発着する、箱崎シティエアターミナルが水天宮駅に直結しているのだ。2020年に向けて、多彩な可能性を秘めている町だと言えるだろう。
飲食店に続く、次の一手もすでに進行している。現在建設中の、グッドモーニングス社のオフィスビルは、1階の開放感あふれるフロアが地域の人が集えるカフェになる。水代氏によれば、「町のリビングになる」場所だという。さらに、書店や雑貨屋などが入る予定だ。隣接する地所に建つ、昭和35年築の建物をリノベーションし、子供用ライフスタイルショップ、フランス発のステーショナリーショップといった、地元の若いママたちをターゲットにしたおしゃれなブランドの誘致が決まっている。

安田不動産開発事業本部の澤田月来男部長(中央)と、「プロジェクトで“地産地育”、つまり産業を育て、浜町のブランド化を図ります」という開発事業本部笠井信行第一課長(左)、「18店舗の加盟店でお得なサービスが受けられる“浜町サービスパス”も皆さんに活用いただきたい」という開発事業本部豊田裕史副長(右)

「“町の日常”が外から訪れる人にとっても魅力となる、そんな町にしたいですね」(澤田部長)

「食品やキッチン用品のメーカーなど、お客様に近い企業も地元に多い。そうした企業向けの仕事には、若いベンチャー企業やデザイナーなども比較的入りやすいと思います。プロジェクトでは、そうした仕掛けもしていきたいです」(水代氏)

じっくりと、町の人々のペースで共に成長するというのが安田不動産の方針だそうだ。そのため、「○年計画」というようなスケジュールは決めていないが、まずは来夏に予定されている水代オフィスのオープン、そして2018年のホテルのオープンによって、大きく前進するだろう。

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