日本橋浜町においしい店が集まり始めた理由

やり手プロデューサーが「町おこし」

「浜町で感じるのは、お客様の層がとてもいいことですね。昔ながらの地元の人、新しく住まわれた人にかかわらず、上品と言いますか。たまににぎやかな団体さんもいらっしゃいますが、見るとたいてい安田不動産さんです(笑)」(金子氏)

同店の自慢は一にそば。なんと、ランチメニューにざるそば+小かけそばのセット(1100円)がある。そばそのもののおいしさを楽しむならざる。しかし、温かいつゆですすり込むのもまた格別だ。そんなそば好きの欲望をどちらもかなえてくれる、ありそうでなかったランチである。

「自分もそばを食べに行くと、必ずどちらも食べたくなりますので、メニューに加えました」(金子氏)

土曜の昼は「行列」ができる

細い蕎麦が特徴

そのほか、ざるそば+小カレーそば(1200円)なども人気だ。牛すじでコクを出しながらもあっさりとしたカレーなので、蕎麦の味もきちんと味わえる。夜のメニューにも、日本酒によく合うおつまみが並ぶ。

同店のもうひとつの売りが、店内に淡水・海水のいけすを備えていることだ。冬ならわかさぎや牡蠣、夏なら鮎といった旬の新鮮な魚介を、その場で天ぷらや刺身にする。単価も1200〜1500円、夜4000〜5000円とリーズナブルなこともあり、1日50〜70人の客で店がいっぱいになる。周辺のオフィスで働く人や住民が主だが、最近はクチコミなどで知られるようになり、遠方からわざわざ来る客も多い。土曜日の昼ともなると行列ができるほど。安田不動産の社員のように数人で訪れる客や接待用途の客も多く、アクセスの悪さは、さほど店の経営に影響していないようだ。

金子氏は、店としてにぎわいづくりに協力するだけでなく、家族で地元のイベントに参加するなど、浜町に溶け込みながら店舗経営を行っているという。こうしたことも、浜町のような昔ながらの町で繁盛していくためには、大切な要素だ。

「最近、再開発と言うと“にぎわいの形成”という言葉をよく聞きます。よくよく考えると意味がわからない。“にぎわいって何?”とゼロに立ち返って考え、地域住民、働く人、訪れる人が“うれしくなる”シーンがたくさんある町づくりを行うことにしました」(澤田部長)

全面的に協力しているのが、町おこしをプロデュースする、グッドモーニングスの水代優代表取締役。

グッドモーニングスの水代優代表取締役

水代氏は東京・丸の内の「MARUNOUCHI CAFÉ 倶楽部21号館」を2003年から2016年まで企画運営。ほか、浅草にある「まるごとにっぽん」のウェブサイトのコンテンツ制作やワークショップ、また同館内のカフェM/Nを企画運営するなど全国各地の地域おこしに関わる。地域の人が気軽に集まれるおしゃれなカフェなど、食とデザインにこだわった拠点づくりが特徴だ。安田不動産が手掛けた神田の再開発(ワテラス:2013年竣工など)において、新旧の住民同士や、住民と働く人たちを結ぶための場づくりを行った。浜町プロジェクトにおいては、本社オフィスを現地に移し「浜町と心中するつもりで」かかわっている。というのも、水代氏自身が、この町に大きな魅力と可能性を感じているからだ。

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