中国EC「祭り」の1日、光ったカルビーの戦略

11月11日「独身の日」にアリババで売り切れに

食品について、中国人消費者がいちばん関心を持つのは、安心・安全である。そして、食べたことがない人に「食べたい」という意欲を喚起させなければならない。したがって、越境ECサイトで安心感とおいしさを伝えることが肝心である。カルビーは商品の紹介、ブランドのプロモーションについての好例である。

カルビーはポテチのよさを、中国人にどう伝えているか

カルビーが越境EC向けに展開するサイトには「尋根之旅(故郷に戻ろう)」というコラムが掲載されている。ポテトチップの原材料である「じゃがいも君」が、ゲストの女性と一緒に北海道に戻り、育ててくれた親(工場長)に会いに行くストーリーである。かわいいじゃがいもの漫画と現場の写真と、わかりやすい言葉で構成されている。まずは千歳空港で熱々のポテトチップをおいしそうに食べて、それから工場へ。食品安全管理、ISO認証、生産設備などが写真で紹介され、安全管理の厳しさ、高い製造技術などを「見える化」している。

そして、じゃがいも君の「父」である工場長が、消費者にパッケージの製造番号の見方について説明する。その後、貯蔵基地に行き、おいしくするために、じゃがいもを6カ月も寝かしていることが紹介される。ポテトチップは簡単に作られていると思っていた消費者は、時間をかけて工夫していることを知って感嘆するだろう。最後にじゃがいも君は、やっと生まれた畑にたどり着き、土を汚染しないように靴カバーをつけて新鮮なじゃがいもを見にいき、「お兄さん」たちにやっと会えたという物語だ。

このコラムは、中国の消費者に「美味しい」「安心」「安全」「職人のこだわり」という企業・商品イメージを巧みに、楽しく伝えている。このストーリーは単なる情報の羅列とは異なり、商品の特徴や消費者が関心を持つポイントを実に分かりやすく解説している。インバウンドで知名度を高めたとしても、越境ECをうまく展開するためには、こうして消費者の関心をつかむための一段踏み込んだ仕掛け作りが重要になるだろう。

ダブルイレブンセールをはじめ、現在、ECは単なる商品の取引だけではなくなった。「祭り」のようなエンターテインメントになっている。アリババは昨年に続き、「2016.11.11 Global Shopping Festival」を開催。10月下旬から、ライブ中継をしたり、VRショッピング体験サービス「Buy+」を提供して盛り上げた。

11月11日の前夜には盛大なカウントダウンイベントを開催。カウントダウンイベントでは、デビッド・ベッカム夫妻など世界的に人気なセレブや女性下着ブランドのヴィクトリアズ・シークレット(Victoria’s Secret) のモデルなどを招待し、ライブ中継を行い、3500万人が視聴した。つまり、アリババをはじめとする現在のEC事業者は、ネットを使ったエンターテインメントコンテンツの配信を通じ、利用者が祭りに参加しているような高揚感を持たさせようと力を入れているのだ。

ここで、企業にとって重要なマーケティングのキーワードが浮かび上がる。それが「ライブ(直播、ジーボー)」である。現在の中国では、スマホ社会で、文字より写真、写真より動画、録画された動画よりライブ配信、というように情報伝達メディアが変化している。ネットでの活動で人気を得たアイドル的な存在の網紅(ワンホン、「網=インターネット」にいる「紅=紅人=人気がある人」)たちの間では、ネットで自分の暮らしを中継するのがトレンドになっている。

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