中国EC「祭り」の1日、光ったカルビーの戦略 11月11日「独身の日」にアリババで売り切れに

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中国は口コミ重視の社会である。前回の記事で触れた「圏子」(チェンズ。同程度の経済力や趣味・嗜好、ライフスタイル、考え方を持っていて場合によって助け合う、関係性が深い人間同士の集まり)内の仲間の評判がよいもの、有名人が推薦したものは認知度も好感度も高い。

4、5年前に「じゃがポックル」は、まず台湾で大人気になった。パッケージに顔と手足がついた3本の「じゃがポックル」のイラストがあることから「薯条(ポテトチップ)三兄弟」と翻訳され、有名人がオススメのお菓子として紹介することが多かった。その後、中国大陸でも日本旅行がブームになった。台湾の番組を見ていた中国人訪日観光客は、有名人が薦めた「三兄弟」を食べたくなり購入。そして、有名人が薦めるお菓子を購入したことを自慢したり、本当においしいと思って自分自身で友人らに薦めたことで、口コミで認知度が高まった。

高い知名度に加えて、日本旅行に行って食べた知人の「美味しかった」という高い評価との相乗効果。その結果、「じゃがポックル」は日本に行ったらぜひとも購入したいお菓子となり、日本で手に入れるべきお土産リストの上位に入るようになったのである。

そうした人気の高まりを受け、ヤフオクやメルカリのようなC2C(個人間取引)ECサービスとして中国で最大手の「淘宝網(タオバオ)」(アリババが運営)でも「じゃがポックル」は販売されるようになっていった。そして、昨年末、アリババの越境ECサイトである「天猫国際(Tモール国際)」で、カルビーは旗艦店をオープンした。

インバウンドと越境EC、どう結び付いているのか

カルビーの「じゃがポックル」もそうだが、三菱総研の中国訪日客と越境EC関連企業を対象にした調査によると、越境ECサイトで人気がある日本の商品は、インバウンドで人気のある商品と関連性が高い。顔パック・フェイスマスク、菓子、子供用魔法瓶、化粧品など、インバウンドでの人気商品は越境ECサイトでよく見かける。訪日する中国人も越境ECの利用者も20代、30代の若者がメインであることが、その理由のひとつだろう。

群雄割拠の中国消費市場で勝つために必要で、かつ最も難しいこと。それは「認知度を高める」ことである。ただ、効率のよさそうなやり方はある。インバウンドという好機を活用し、訪日中国人観光客の購入を通じて情報拡散を図ることだ。

単に「便利」なだけでなく、「気持ちよく使える」「格好よく使える」などと、中国人の商品に対する要求は、年々、高度になっている。同時に、商品に関する説明についても、機能・性能を羅列するだけではなく、「どのような場面で使うか」といったメッセージを含めて、背景となる「ストーリー」が必要になっている。

つまりは、わかりやすく、かわいく、物語性が豊富なものがよい。その理由は、対面販売ではないうえ、国境までも超える販売なので、たとえば友達から聞いて越境ECサイトの店舗までたどり着いて初めて商品紹介を見る人にも、商品やブランドのイメージを一瞬にしてわかってもらえるかどうかに勝負がかかっているからである。

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