中国EC「祭り」の1日、光ったカルビーの戦略

11月11日「独身の日」にアリババで売り切れに

サッカー試合の解説、メイクアップの仕方、東京で暮らしているOLの日常生活……さまざまなコンテンツが日々、ライブ配信される。スマホがあれば、セルフィ(自撮り)でいつでもどこでもライブを配信できることも、追い風だ。熱烈なファンは「網紅」の食事をするだけのライブ配信に対しても、現金化ができるサイト専用コインを惜しみなくプレゼントする。

現在の中国では、「網紅」のライブを通じて商品を宣伝してもらうケースがますます増えている。企業にとっても、ライブ配信は高い効果を期待できるプロモーション手法になっているからだ。商品の背景にある「ストーリー」を重視する中国人消費者は、「網紅」の肉声を通じて擬似体験し、共感することで、購買意欲が湧くようになっている。

たとえば、こうだ。日本を旅行中のかわいい「網紅」が、原宿を歩きながらグルメを探している。隣にいる日本人のファッション、街の雰囲気などを、そのまま中継。そこで、さりげなくかわいらしいお店を発見する。おいしそうなあつあつのポテトチップが売っている! 注文して食べると、クリスピーな食感がライブの音で伝わり、サイズ感なども動画ですぐわかる――。

ファンが多い「網紅」であれば、同時に数万人ないし数十万人が視聴している。「食べたくなってきた!」「どこで買えるかなぁ」……。このようなコメントが殺到し、見ている人の購買意欲を刺激する。ライブはネット上に掲載されているので、検索すれば、いつでも閲覧・転送・共有でき、長期的にみても広告効果がある。

日本企業にとって、中国市場でのチャンスは広がっている

中国のECの現況や市場環境をみてきたが、先ほど例に挙げたカルビーに限らず、日本企業にとって、今がインバウンドと越境ECを連携したビジネスモデルを検討する好機であることは間違いない。まず、インバウンドで認知度を上げ、日本や日本商品に関心が高い訪日中国人観光客に購入してもらう。そして、口コミや情報拡散を通して、越境ECビジネスにつなげていく、というのはひとつの解だろう。

何段階もの流通業者を経由する一般の貿易と異なり、越境ECは最終消費者のナマのデータ、ナマの声などの情報を詳細かつ網羅的に入手できる。これらのデータから顧客像の設定、商品の改善や開発、プロモーション戦略の方向性を明確にすることができる。中国国内消費市場への一般販売進出の検討にも役立つだろう。

中国消費者は自分のニーズを満たす日本商品を求めている。インバウンドをテコにして、現在の600万人の訪日中国人市場から、3000~4000万人の越境EC市場まで展開することができれば、さらに大きなビジネスチャンスがみえてくるはずだ。

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