「爆買い終了」でも続くインバウンドの真実

悲観論は「百貨店不振」に引きずられすぎ?

中国人観光客は今、銀座で何を買っているのか(写真:kou / PIXTA)

最近、中国人向けビジネスを手掛ける日本企業とのミーティングや、メディアの取材で頻繁に聞かれることがある。

それはこんな調子。「百貨店の業績が悪化しています。中国人の『爆買い』はもう終わったようですが、これからはどうなりますか?」「インバウンドと言っていても、やはり円高になったらすぐダメになりますね」「しょせん、インバウンドは一時的なものでしたね」。何かと言うと、あちこちから聞こえてくるのは、そろいもそろって「インバウンド終わり論」なのである。

インバウンドは、本当に下火になっているのか

確かに、以前のようにわかりやすい形の「爆買い」はというと、弱まっているように見える。訪日外国人、特に中国人の消費支出は下がっており、同じ商品の大量買いが少なくなっていることも明らかである。そして、百貨店の売上高は右肩下がりだと、悲鳴が聞こえてくる。そうすると、地方創生にもかかわる地方インバウンドの芽吹き、という明るい話題があっても、すぐに「終わり論」の消極的な論調に埋められてしまう……。

日本のテレビや新聞を見ていると、インバウンド景気の将来は暗いという感じしかしない。でも、それは違う。インバウンド市場の研究に長く取り組んできた立場からすると、今、訪れている変化は、訪日中国人の消費行動が弱まっているどころではなく、むしろ、どんどん進化している証拠にほかならないのだ。

となると、自治体や企業が、インバウンドにまつわる悲観的なストーリーを鵜呑みにしていたら、「それは大間違いだ!」と、声を大にして言いたい。大きなビジネスチャンスを逃してしまいかねず、もったいないことこのうえない。だからこそ、今回は、進化している訪日中国人の観光・消費行動をひもといていきたい。

まず、ぜひとも知っておいていただきたいのは、「インバウンド終わり論」の根本にある、訪日中国人の消費支出は激減している――という見立ては、そもそも成立しないことだ。消費額を考える際、一般的には日本円で見られているが、為替レートに大きく影響されることを考えれば、対象国の通貨で見るほうが現実的である。

このグラフは、円ベースと元ベースで見る訪日中国人の1人当たりの旅行支出の推移。為替レートの影響から、円ベースで見ると下がっているように見える。が、実際中国人が使う元ベースで見ると、堅調なトレンドであることは一目瞭然である。つまり、訪日中国人がおカネを使わなくなったということはまったくない。

次ページ元ベースでは堅調、その理由は?
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 今見るべきネット配信番組
  • コロナ後を生き抜く
  • 若者のための経済学
トレンドライブラリーAD
人気の動画
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
渋谷駅、谷底に広がる超難解なダンジョンの今
渋谷駅、谷底に広がる超難解なダンジョンの今
「話が伝わらない人」と伝わる人の決定的な差
「話が伝わらない人」と伝わる人の決定的な差
「説得力のある話ができる人」と「説得力のない人」の差
「説得力のある話ができる人」と「説得力のない人」の差
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
激動相場に勝つ!<br>株の道場

6月18日発売の『会社四季報』夏号が予想する今期業績は増収増益。利益回復に支えられる株価が上値を追う展開になるか注目です。本特集で株価が動くポイントを『会社四季報』の元編集長が解説。銘柄選びの方法を示します。

東洋経済education×ICT