中国高速鉄道が弱みの安全性を補う"奇策" 大陸横断する「旅客・貨物兼用」列車の構想も
「日本の新幹線と比較して、中国の高速鉄道の強みはどこにあるのか」。鉄道見本市「イノトランス」(ドイツ・ベルリン)会場で、中国鉄路総公司の記者会見が9月21日に行われた。その後の質疑応答で、こんな質問をぶつけてみた。
中国鉄路は、2011年に温州市で起きた高速列車の衝突脱線事故を理由に解体された中国鉄道省を引き継ぐ形で2013年に発足した国有鉄道会社。日本の国鉄のようなものだ。そして回答したのは中国鉄路・科学技術管理部の周黎ジェネラル・ディレクター。つまり技術部門のトップである。
新幹線との意外な違い
周氏は、記者会見で中国の営業用高速列車が試験運行で世界最高の最高時速486キロメートルをたたき出したこと、短期間で多くの路線網を築き上げたこと、建設コストが割安であることなどを誇らしげに語っていた。だとしたら記者の質問に対する回答は、新幹線を上回る最高速度か、それとも建設コストの安さかと思ったが、周氏の回答は予想を裏切るものだった。
「我々は新幹線よりも多くのチャレンジをしている。中国の国土は広く地域によって気候がまったく違う。北部の哈爾浜―大連間では時には気温がマイナス40度になる。そんな中を我々の高速鉄道は走っている。一方で南部の海南島は熱帯気候。世界を見渡しても熱帯気候を走る高速列車は中国以外にはない。蘭州―烏魯木斉間、北京―天津間、大同―西安間は高地、砂漠、山岳地帯といった地形の非常に複雑なエリアに路線が建設された。運行時間が10時間くらいかかるような長距離区間を走る列車もある」。
確かにこれだけ違う環境下を日本の新幹線が走ることはない。痛いところを突いてきた。
中国の鉄道産業は今も成長を続けている。中国全土に張り巡らされた高速鉄道網の全長は2万キロメートルを超えた。高速列車の総数は2503編成。どちらも日本の規模をはるかに上回る。
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