東芝、「名脇役」の鉄道部隊が挑む海外戦略 資金難にあえぐ中で選んだ方法とは?
「お金は全部フラッシュメモリと原発に向けられてしまう。こちらには資金が回ってこない」。東芝の黒字を継続的に出す「優等生部門」のある社員は小さい声でこう漏らす…。
不正会計問題で経営危機に陥った東芝は2016年3月期、リストラや減損などで過去最大の赤字を計上した。その影響を引きずり2016年6月末の自己資本は3360億円、自己資本比率は7.0%と今なお綱渡りの状況が続く。
室町正志前社長は3月の事業計画説明会で「投資はメモリと原子力に集中させる」と説明。その他の事業については、老朽更新のみという事実上の「投資凍結」の宣言をした。
鉄道事業は「海外」に活路を見出した
そんな状況下でも「投資ミニマムでリターンを得る」と拡大を意気込むのは、東芝の鉄道システム戦略部の築紫未来(つくし・みき)部長だ。
東芝の鉄道事業は120年近くの長い歴史を持ち、ここ数年は減損を計上した前期を除き、継続的に黒字を出している。モーターやインバーターなど鉄道を支える電機品や機関車を製造している。国内では日立製作所や三菱電機と並ぶ大手の一角だ。
ただし、国内では保守やメンテ、更新需要はあるものの、鉄道延伸などの大きな案件はほとんどなく、今後の成長は期待できない。鉄道事業のさらなる拡大を狙い、目を向けたのは海外だった。
従来から北米や南米、アフリカでも事業を展開していたが、今後市場が伸びていく中国、インド、欧州、その他アジアを戦略地域として絞り込んだ。これらの地域以外も案件があれば受注を目指すが、案件を取っても人員が足りず、手が回らないというのが実情だ。
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