中国高速鉄道が弱みの安全性を補う"奇策" 大陸横断する「旅客・貨物兼用」列車の構想も

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その真意はすぐにわかった。”仲間”とは、TUVノードのことだ。同社は鉄道車両の国際安全認証業務を得意する。一方で、中国中車にとっては鉄道輸出を増やすためには、目下、中国のアキレス腱ともいえる安全性に問題がないことを客観的にアピールしたいところだ。つまり、TUVが認証することで中国中車の列車の安全性にお墨付きが得られれば、今後の輸出にプラスになるというわけだ。「日本の鉄道車両輸出に第三者が安全認証するということはこれまでなかったが、日本でも今後は必要になってくるかもしれない」と、専門家は指摘する。

保守業務でも他国と連携

「イノトランス」の中国中車ブース(記者撮影)

TUV以外にも、中国は自国にないものを他国から取り込もうとしている。9月23日には中国中車がボンバルディア(本社カナダ、鉄道の本拠はドイツ)と生産資源の相互活用などに関する提携を結んだ。

今年6月には中国鉄路がドイツ鉄道から高速列車のメンテナンス業務に関しアドバイスを受けるという契約を交わしている。中国が得たノウハウは当然、他国向けの高速鉄道案件にも活かされるはずだ。他国の力を借りて高速鉄道の世界展開を目論む中国に対して、日本は「オールジャパン」、つまりただ一国で戦いを挑む構図になる。

もっとも、高速鉄道以外に目を転じれば、日本企業の鉄道ビジネスの営業現場は外国企業との連携も厭わない。2020年運行開始予定のロンドン地下鉄の次世代車両の製造に関して、日立とボンバルディアが共同で入札したことが9月28日に明らかになった。JR東日本もオランダ鉄道系企業などと共同で英国の鉄道路線の営業権獲得に向けて入札している。

いかにも前近代的な「オールジャパン」ではなく、他国のよい部分を取り入れながら、柔軟な発想で臨むほうが海外展開には有益なように思われる。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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