レタス1玉98円は無理?野菜高値はまだ続く キャベツからジャガイモまで幅広く影響

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それ以外の青果も高値圏が続きそう。キャベツは群馬県産、白菜は茨城県産のシェアが高く、事実上の「プライスリーダー」だが、それらの出荷が思わしくなく、来年に入っても供給不足が懸念されている。

これから鍋物用に需要の増える白菜は、漬け物など業務用でも品不足が顕著で、業者間で取り合いになっているという。関東圏では11月としては54年ぶりとなった24日の積雪も、白菜の生育状況に影響を与えそうだ。

天候は青果の出来・不出来にも影響を与える(本文とは直接関係ありません。記者撮影)

さらに影響が懸念されるのがジャガイモだ。6~7月の北海道での天候不順で種芋が不足していると言われている。年明け以降、産地は九州などに広がるが、種芋そのものが不足しているため、出荷はしばらく例年を下回る状況が続きそうだ。

輸入野菜拡大の動き

販売するスーパーでは、野菜の高止まりが消費に与える影響を懸念する声もある。その中で再び起きているのが、輸入野菜を増やす動きだ。首都圏と関西圏に食品スーパーを展開するライフコーポレーションは、来春にかけてタマネギの供給が減ると見越して、タイやオーストラリアからの輸入を検討している。

輸入野菜の活用はカット野菜や業務用でも広がっているようだ。11月下旬には、植物検疫に関する規則改正で検査対象となる病害虫が増え、中国産キャベツなどの輸入が停滞するとも言われたが、現状で影響はほとんどないと見られる。

ジャパン アグリ イノベーションの本田社長は「国産の野菜が高止まりする結果、輸入野菜に取って代わられることがこわい」と言う。相場高は農家にとって決して悪い話ではないが、長い目で見れば、国産野菜への需要減につながり、農家自身の首を絞めることにもなりかねない。農家にとっても野菜の安定供給は大きな課題として残されている。

並木 厚憲 東洋経済 記者

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なみき あつのり / Atsunori Namiki

これまでに小売り・サービス、自動車、銀行などの業界を担当。テーマとして地方問題やインフラ老朽化問題に関心がある。『週刊東洋経済』編集部を経て、2016年10月よりニュース編集部編集長。

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